仏具のまちと覆面レスラーが異色すぎるコラボ 伝統技術でプロレス凶器を共同開発 3月下旬の興行で初使用へ

杉田 康人 杉田 康人
若手職人にプレゼンするスーパー・ササダンゴ・マシン
若手職人にプレゼンするスーパー・ササダンゴ・マシン

 富山県高岡市で仏具の製造や販売に関わる約40人の若手組合「高岡伝統産業青年会」が、プロレス団体DDTなどで活躍する覆面レスラー、スーパー・ササダンゴ・マシンと異色タッグを結成。鋳造や彫金、漆工芸など仏具づくりの伝統技術を生かし、プロレスの試合で使用する凶器を共同開発することになった。

 青年会では、ササダンゴを地域おこし協力隊ならぬ「冥土(めいど)おこし協力隊」に任命。「プロレス×伝統工芸」の異業種コラボで、仏具の製造シェアで全国ナンバーワンながら寺院数の減少や発信力不足などに悩む高岡市の伝統工芸の課題解決に挑む。

 〝ライバルはご先祖様〟を合い言葉に、400年以上続く高岡の伝統技術発展を目的とする青年会は、YouTubeで異業種から著名人を招き「高岡クラフツーリズモTV」を配信。「冥土のみやげ号」と題した見学バスツアーでものづくりの現場や裏側を紹介し、仏像やりんなどの仏具をあの世まで持っていきたい「冥土のお土産」として魅力を伝えている。

 ササダンゴと、高岡市出身でTBSラジオの名物プロデューサー・橋本吉史氏が市内の工場、工房を見学した。試合前に「煽りパワポ」と呼ばれるSWOT分析(経営戦略や事業計画の現状分析)を得意技とするササダンゴは、高岡市の伝統産業をどう盛り上げていくかを職人にプレゼン。「相手を冥土に送る(ノックアウトさせる)」ことがレスラーの仕事とし、プロレスの凶器に仏具職人の技をあしらい、製作することを提案した。

 現在、職人らの手によって「冥土in高岡」の凶器が鋭意製作中。ササダンゴは、3月29日から31日まで東京・北沢タウンホールで5公演開催されるプロレス興行「まっする6―下北ONE PLUS ONE」での使用を予告した。

 新潟県で金型メーカー・坂井精機の代表取締役も務めるササダンゴは、同じものづくりの世界に生きる者として「本業の金型メーカーとしては発信力不足を感じ、本業の部分をみんなに伝えられていないな、というのは常にあります。そういう意味で今回の任命はとても刺激になり、新潟でもこういう活動を逆にやっていかなきゃと感じました」と、高岡での若手職人の試みに共鳴。異色タッグを、今後さらに発展していくとした。

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