コロナ後に「次のパンデミックが発生するだろう」ビル・ゲイツ氏が指摘 英科学者 は「ガイアが人類を淘汰」と警鐘

深月 ユリア 深月 ユリア
写真はイメージです(Shane Kennedy/stock.adobe.com)
写真はイメージです(Shane Kennedy/stock.adobe.com)

 コロナ禍になって2年以上になるが、まだ出口は見えていない。一方で、ポスト・コロナの世界に関して著名人や学者らが発言しており、人類の未来を楽観視できる状況ではないという見解が少なくない。ジャーナリストの深月ユリア氏が、注目される発言を紹介し、今後、地球がよりよい環境を維持できるための方策を探った。

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 世界保健機関(WHO)は今年2月3日、欧州での新型コロナウイルスとの闘いは「今後、『長い静寂期間』に入り、『永続的な平和』がもたらされる可能性もある」との見解を示した。ワクチンによる集団免疫、感染拡大しやすい冬が終わること、オミクロン株が従来の変異株より弱毒であることが理由だ。

 しかし、同18日、マイクロソフトのビル・ゲイツCEOがドイツのミュンヘン安保会議で「新型コロナウイルスのリスクは減ったが、また次のパンデミックが発生するだろう。新たなパンデミックは、コロナウイルスの系統とは異なる病原体を起源とするだろう」と不気味な演説をした。ゲイツ氏は一般人が知らない何らかの情報を入手しているのだろうか。

 パンデミックはもうこりごりだが、「地球環境破壊する人類は既に人口過剰で、地球の生態系のバランスを保つために淘汰されていくしかない」という考え方がある。地球全体を一つの生命体「ガイア」だと考える「ガイア理論」によると、地球は自己調節機能を持つひとつの巨大なシステムで、その内部では種々の生命体が周囲の環境と相互に作用し合っているという。 ただ、ガイア理論は科学的な検証を欠いて、現時点ではあくまで仮説に過ぎず、学術会では批判も多い。

 同理論を提唱したイギリス人科学者のジェームズ・ラブロック氏は、昨年10月31日から11月13日まで英グラスゴーで開催された「COP26」(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議 )の際に、英紙ガーディアンに「人類が地球を破壊する前にガイアが人類を破壊するかもしれない。ガイアが打つ次の一手はコロナ禍よりやっかいかもしれない」と人類の未来に警笛を鳴らす論文を掲載した。

 ラブロック氏によると、新型コロナウイルスパンデミックも、 地球は自己調節機能の一つであるという。

 「ダーウィン進化論によると、新種の生命体が勢力を伸ばすのは、十分な食糧がある時で、我々人類は、いま新型コロナウイルスの食糧になっています。ガイアのシステムにとって人類が無制限に増えて、やりたい放題するのは好ましくないことなのです。地球上の人口が増えれば、減らそうとするウイルスが出現する確率も高くなるでしょう。イギリスの経済学者トマス・ロバート・マルサスは、人口制限の必要性を説きましたが、この指摘はかなり的を射ていたと思います」(ラブロック氏)

 では、人類が生命体「ガイア」により淘汰されないためにはどうすればよいのだろうか。

 ラブロック氏はかねてより原発支持者であり、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの需要も増やすべきだと主張している。日本のような地震が多発する国では、特に老朽化した原発に対しては慎重に考える必要があるが、エネルギー政策以外にも大量生産大量消費社会を見直すこと、アニマルウェルフェア(※動物の福祉)の問題にも目を向けることなどでも地球環境のためにできることはある。

 「ガイア理論」の真偽は今後も議論されるだろうが、いずれにしても一人ひとりが地球環境問題にもう少し目を向けることで、人類にとってより良き未来をつくることができるだろう。

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