コロナ禍で「釣りブーム」再来 アニメ化で話題 ”0.1%のマイノリティー”「フライフィッシング」の醍醐味

松田 和城 松田 和城

 昨今、アニメ「放課後ていぼう日誌」、「ゆるキャン△」の放送や3密を避けて楽しむ「アウトドアブーム」の影響で釣り人口が増えている。うちのまいこ氏による漫画(芳文社)が原作で1月からTOKYO MXなどで放送中のアニメ「スローループ」では、釣りの一種・フライフィッシングを嗜(たしな)む少女たちの生活が描かれる。作中に登場するフライフィッシング専門店は東京・水道橋に実在する「ハーミット」がモデルとなっている。店長の稲見一郎氏はフライフィッシングについて「釣りの中で1番マイノリティーなんです。僕らの感覚からいうと数万単位。1000万以上と言われる釣り人口の0.1%くらいです」と明かした。

 フライフィッシングは、「フライ」と呼ばれる西洋式毛ばりを使った魚釣りのこと。フライは、鶏、牛、リスなどの毛を巻いて作る。生き物の餌やルアーを使用しないのが特徴だ。また、フライ自体に重さがほとんどないため、他の釣りとは異なる独特のキャスティング方法で仕掛けを目的の場所まで投げる技術が必要となる。

 同作を知り、地方から店に訪れるファンも少なくないという。以前、釣り経験のない若い来店者が、作中シーンを再現して体験するため同店で用具を購入。聖地である横須賀に向かい、フライフィッシングに挑戦したが魚を釣り上げることはできなかった。関心を持ってくれることは大歓迎だが、金銭的にも技術的にも初心者向けではないため段階を踏むべきと説明した。「釣りでいうとほんと最後にやる部類ですね。色んな釣りを経験した人が最後にたどり着いて『全然俺ってまだまだじゃないか』と思うレベルなんです」と奥深さを語っ

 もともとイギリス発祥でスポーツとして楽しまれてきた。インド、南アフリカなどかつて植民地化された地域では現在もフライを巻く文化が残っており、コロナ禍以前では20カ国規模の世界大会も北欧で開催されていたという。

 フライフィッシングは、1992年に公開された米俳優ブラッド・ピッド主演の映画「リバー・ランズ・スルー・イット」で、ブームを巻き起こした。同氏はアニメ放送を通じ、30年ぶりの”再ブーム”へ控えめに期待を寄せる。「フライフィッシングというものを認知していただけるだけでありがたいです。始めなくてもいいので、せめてどういうものか雰囲気だけでも分かっていただければ」と笑顔で呼びかけた。

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