漫画家・楳図かずお氏(85)の世界を体感できる「楳図かずお大美術展」が28日、六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューで開幕する。報道向け内覧会が27日に行われ、オープニングセレモニーに登場した楳図氏は「新作には自信しかないです!漫画よりもさらに高いところを目指した場所にあったのが『絵画』でした」とキッパリ。同席したタぶりレントの中川翔子さんは「進化し続ける楳図かずお先生の展覧会!世界中の全人類早く見て!という気持ちです」と呼応した。
展覧会の目玉は1990年代の代表作「14歳」以来、4年の期間を費やした、27年ぶりの新作「ZOKU-SHINGO小さなロボット シンゴ美術館」。物語性を持つ点はマンガと親和性はあるものの、101点から構成される各作品にはコマ割りがなく、1枚1枚が絵画作品として制作されている。
20年来の親交があり、顔を合わせるのは約8年ぶりという両者。展覧会を見た中川さんからは「印刷ではわからない筆使いや絵の具の発色の良さを感じることができます。新作は絶対に生で見てほしいので、展覧会に足を運んでみて欲しいです!」とコメント。楳図氏からは「新作の中身はもちろんですが、実は額縁にもこだわっているんです!赤と緑を基調とした、存在感があるけれど、連作絵画にマッチしている部分もぜひ見てほしい」と展覧会の楽しみ方を述べた。さらに、なぜ新作を101枚の絵画という形式で発表したのかという質問に「新しいことを目指す、ということで、漫画でもあり絵画でもある作品を作りたかった。漫画と絵画の両方の良いところを表現したかったんです」と述べた。さらに、約8年ぶりの再会ということで、中川さんからサプライズで楳図かずおにファンアートのプレゼントが渡された。楳図かずお、中川翔子、楳図かずお作品の登場人物が描かれたファンアートには裏面にメッセージも。楳図かずおは「しょこたんはイラストでも食べていけるくらい絵がうまい !」と大絶賛した。
最後に、楳図氏は「間違いなくがっかりさせることのない展覧会です。ゆっくり見て、それを家に帰って考えて、楽しんでほしい。そしてそれをぜひ口コミで広めて欲しい!」と呼び掛け、中川さんは「進化し続ける楳図かずお先生の展覧会!世界中の全人類早く見て!という気持ちです」と呼応した。
展覧会ではエキソニモ氏が「わたしは真悟」をテーマにした作品を制作。冨安由真さんは楳図氏の新作が着彩される前の素描(鉛筆画)101点を展示する部屋全体の演出を手掛け、部屋の中央には小部屋のような構造物を制作。鴻池朋子さんは楳図氏の新作の素描にリスペクトを込めたドローイング「かずお14歳」や、楳図漫画に象徴的に登場する非常階段などのインスタレーションを制作。他のアーティストによる楳図氏、楳図作品をモチーフとした新作が展示される。
会場内の特設ショップでは、新作「ZOKU-SHINGO小さなロボット シンゴ美術館」や過去の楳図作品のビジュアルを使ったアイテムなど、展覧会会場だけのオリジナルグッズを含む約190種類を販売。また、グラフィックデザイナーの吉田ユニさんとのコラボグッズも登場する。
また、楳図氏が2022年のフランス・アングレーム国際漫画祭のポスターを描き下ろしたことが発表された。今春の開催時に展示、販売される予定。楳図氏は「1枚の絵の中にうんとストーリーを込めているので、1枚ですが、いっぱい楽しめる。大変良くできた作品だ」と手応えを口にした。
同展は3月25日まで開催。大阪ではあべのハルカス美術館で9月17日から11月20日まで開催される。