空から動物が降ってくる「アニマル・オブ・レイン」現象とは何か?竜巻説が有力も

深月 ユリア 深月 ユリア
写真はイメージです(Victor zastol'skiy/stock.adobe.com)
写真はイメージです(Victor zastol'skiy/stock.adobe.com)

 米テキサス州東部で昨年末、空から魚が降ってくるというニュースがCNNなどで報じられて話題になった。大半が手のひらサイズの魚だったが、現地での市当局の説明によれば、水上の竜巻によって吹き上げられた可能性が高いとみられ、魚が降る現象は「アニマル・オブ・レイン(ANIMAL OF RAIN/動物の雨)」の1例として起こりうる出来事だという。女優でジャーナリストの深月ユリア氏が、19世紀から今世紀に至るまで世界各国で発生してきた、この不思議な現象を紹介する。

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 昨年12月29日、米国のテキサス州テキサカーナで空から雨と共に魚が降ってきて、住民らが騒然となった。

  実は、魚に限らず動物などが空から降ってくる「アニマルオブレイン」現象は今回初めてのことではなく、古来より世界各地で発生している。旧約聖書の記述にも、モーゼに率いられたイスラエル人が砂漠をさまよっていた間、空から「マナ」と呼ばれる食糧が降り注ぎ、食糧問題が解決されたという描写がある。

  実際の記録されている歴史上でも、世界各地で「アニマルオブレイン」現象が度々発生してきた。

  ・1861年2月、シンガポールの市内で魚が降ってきた。

  ・1876年3月、米国ケンタッキー州の市街地、およそ100×50ヤード四方の範囲に、赤身肉の断片が降り注いだ。アメリカハゲタカのような猛禽類が食べた肉を吐き出したものと推定されている。

  ・1890年、イタリア王国カラブリア州メシナディで、動物の血が混じった真っ赤な雨が降った。強風によって引き裂かれた鳥のものだと推定されたが、実際の鳥の死骸は見つからなかった。

  ・1901年7月、米国ミネソタ州ミネアポリスで、豪雨と共にカエルが降ってきた。町のおよそ4ブロックもがカエルで埋め尽くされ、最大8センチの厚さまで積もった。

  ・1956年、米国アラバマ州チラチーで、晴天の中に急に暗雲が現れ、ナマズ・バス・ブリームなどといった魚が降ってきて、その後、白い雲が出現した。

  ・1981年5月、ギリシャのナフリオンで 空から60~80グラムのカエルが降ってきた。北アフリカに生息する種であり、強風によって運ばれたものと見られている。

  ・1989年、オーストラリアのクイーンズランド州イプスウィッチで、小雨の中、約800匹のサーディン(※ニシン科の小魚)が降り、民家の芝生が覆われた。

  ・2009年6月、日本の石川県七尾市で空から多数のオタマジャクシが降ってきた。当時、周辺地域の大気は安定していた為、竜巻などによる影響だとは考えにくい。後日の調査により鳥が吐き出したものだという説が有力視された。

  ・2018年6月、中国山東省青島市で、強風を伴う雷雨とひょうの中、タコ・ヒトデ・アワビ・エビなどの魚介類が降った。

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 これらの現象の発生要因として、鳥がくわえた獲物ではないか、飛行機が飛行中に貨物室が開いて積み荷を撒いてしまうのではないか、など様々な説があるが、現在では竜巻説が有力視されている。水面上に発生する竜巻が魚やカニ、エビ、カエルなどの水棲生物を巻き上げ、それらを最大数キロメートル先に運ぶのだという。 とはいえ、確固たる裏づけとなる証拠のないケースも多く、これらの現象には謎が多い。

 「アニマルオブレイン」現象は天からの人類への何らかのメッセージなのだろうかー。

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