いまだに解明されていない事柄が多く、都市伝説なかでも、あらゆる出来事の根源として語られることが多い宇宙という存在。今回、紹介する漫画作品『先に来た人』では、人類史上最大のベストセラーとも称される聖書を下敷きに、宇宙が持つ意味や可能性を神秘的な物語を通して描いていく。作者は、『性的人間』や『チンポロリン』、『ぬきうちテスト』など、数々のギャグ漫画作品を世に送り出し、有名マンガ誌で活躍する松田望さん。作者のインタビューと共に、作品の魅力をお届けする。
宇宙は科学の到達点か、それとも神の真理か。『先に来た人』
月面着陸の成功し、月の探索を行う乗組員たち。そのとき、宇宙の謎のひとつとして知られる“目をつぶっている状態でも強い光を見る”という体験をした宇宙飛行士のソル。目を開けると、そこにはいないはずの“存在”と遭遇し、宇宙に秘められた真相を知ることになる。宇宙は科学の到達点か、それとも神の真理なのか。
「今までギャグ漫画ばかり描いてきた僕が、初めて描いたストーリー漫画です。敬虔なクリスチャンであった祖母の影響で聖書を読んでいたこともあり、この作品ではその時に感じていた疑問と、以前に読んだ月面着陸後の宇宙飛行士の神秘体験を掛け合わせて、自分なりに答えを出したものです」
物語の各所で描かれるギミックや、構成力は秀逸。作品全体で描かれるテーマとリンクするラストのオチには思わず、声を上げてしまうほど。SFや哲学、ミステリー要素も取り入れた作品。