よろず~ミステリークイズ 「隠されたメモリー」 思わぬところにヒントが… #23

白峰 良介 白峰 良介

 警報ベルがけたたましく鳴った。

 しまった、見つかったか。俺は舌打ちをした。Q社の社長室に忍び込み、企業秘密の設計データをPCから盗み出すところまでは、産業スパイとして成功だったが…。俺は、盗んだデータを入れた小さなメモリーを握りしめた。このメモリーをどこかに隠そう。捕まっても、後でそれを取り戻しにくればいい。では、どこに隠すか。俺は社長室を見回した…。

 警備主任の島谷省吾は、不法侵入した男を見下ろしていた。男はあまり抵抗せずに拘束され、今は廊下の床に座り込んでいる。
「簡単につかまりましたね」警備員の一人の灰野が言う。
「男の身体検査はしたな」
「はい。でも、何も持ってません。警報が鳴って、盗る暇がなかったようです」
 だが、島谷は首を傾げた。
 今は膨大なデータを、小さなメモリーで持ち運べる時代だ。企業秘密をメモリーに入れ、どこかに隠した可能性はある。
 島谷は、廊下から社長室に入った。 
 重厚な机と大きな書棚、それにソファセットというよくある造りだ。(図参照
 机の上には大きな画面のパソコンとキーボード。その回りに書類や文房具が置かれている。ホッチキスに、万年筆、文鎮…。エアメールとペーパーナイフも転がっていた。
 陽が差し込む窓際には、桔梗の鉢植えがあり、大きな花がドアの側にいる島谷の方を向いていた。桔梗は6月頃から花開くと聞いたことがあるのを思い出す。
 壁には額に入った風景画がかかっていた。
「あとは警察にまかせましょう」と灰野。「そうだな」島谷もうなずく。だが、その時にひらめいた。
(あれは不自然だ。もしかしたら…)
 2分後、島谷はメモリーを見つけ出していた。
 さて、警備主任はどこでメモリーを見つけたのでしょう? 

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