元担当編集の手塚プロ社長が語る手塚治虫の”初物”好き 企画展でアニメ・鉄腕アトムの秘密明らかに

松田 和城 松田 和城
会見に出席した手塚プロダクション代表取締役・松谷孝征社長
会見に出席した手塚プロダクション代表取締役・松谷孝征社長

 手塚プロダクション代表取締役・松谷孝征社長(77)が17日、東京・トキワ荘マンガミュージアムで、特別企画展「鉄腕アトム-国産初の30分テレビアニメシリーズ-」(会期12月18日て22年4月10日)の記者会見に出席。自身が27歳の時に担当編集を務めて以降、生涯を支え続けた手塚治虫について語った。

 テレビアニメ「鉄腕アトム」が放送された1963年以前は、国内アニメは劇場アニメや、テレビ版では数分の短編しか制作されていなかった。国産初の30分テレビアニメシリーズの制作に成功した背景には手塚の挑戦心があった。「フジテレビが手塚に依頼に来た時、あの人は初めてに弱かったので、『初めてだったらやろうじゃないか。今やらなきゃ』という決断を下していました」と明かした。当時、周囲のアニメーターに30分アニメを毎週放送するのは作業量的に不可能だと思われていたが「それなら、なおさらやろうと思ったんでしょうね」と回顧した。

 73年から同氏のマネジャーを担当し、多忙をきわめた。78年には「24時間テレビ『愛は地球を救う』(日本テレビ系)」でテレビ番組用でオリジナルの長編アニメの制作に着手。「初めてにまた弱いんですよ。やり始めたらハマっちゃって、そのまんま1980年の鉄腕アトムシリーズになってしまった。めちゃくちゃです」と冗談交じりに話した。

 企画展では、脚本、原画など当時の貴重な資料や制作方法を展示。毎週のアニメ放送に間に合わせるために施された、背景だけを動かすなど作業省略化の工夫が明かされる。また、63年放送の第1話上映コーナーや、アトムと白黒テレビに入って撮影できるスポットも用意されている。

 同館では5回目の特別企画展。トキワ荘とテレビアニメの間で、直接的な関係は大きくないが、作品に興味を持つきっかけになればという思いが込められた。「アニメを見てマンガの原作を読んでほしいなと思います。単行本を買ってくれればうちに(印税が)10%入ってくるので」とユーモアたっぷりに呼びかけた。

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