サンリオ初のリアル社員Vtuberを直撃 〝キャラクターの宝庫〟があえて挑んだ新機軸

松田 和城 松田 和城

 キティちゃん、マイメロディなど、世界的な人気キャラクターで知られるサンリオが、新たな挑戦を試みている。先月11日に、同社で初めて現役社員が「なつめれんげ」としてVtuberデビューすることを発表。日々の仕事の話、サンリオ最新情報、ゲーム実況の配信などを行っている。なぜ人気キャラクターが多く存在する同社が、あえて新たなキャラクターであるVtuberによる情報発信を行おうと思ったのか。活動開始から約1カ月が経過した「リアル社員Vtuber」本人に話を聞いた。

 頭にパンケーキをのせた男性Vtuberが、ゆったりとした口調で”サンリオらしさ”あふれるフワフワした雰囲気を生み出している。今月12日には、サンリオキャラクター・ウィッシュミーメルの担当デザイナーにインタビューする配信を行った。事前募集から厳選した約15の質問を投げかけトークを展開。〝部外者〟では深掘りできないような情報を提供し、ファンとデザイナーのパイプ役を担った。

 なつめれんげは、「リアル社員Vtuber」の良さを「キャラクターじゃないことがメリット」と説明する。「社員だから、実際にデザイナーを呼んで話ができるんです。サンリオファンの方とリアルにつながれることは、キャラクターとしての立ち位置ではなく、やっぱりリアル社員じゃないとできないことかなと思います」と自信をみせた。

 同社でバーチャル、配信事業を活性化していた背景が、若手社員の挑戦を後押しした。「会社が『エンターテインメントの企業である』という考え方を打ち出しているタイミングで、それを社員として解釈したときに、社員自身がエンターテイナーになることもありなのかなと思ったんです」ときっかけを明かした。また、同社がVtuber事業に未着手だったころに行った、他のVtuberとのコラボも大きなヒントに。「バーチャル社員がいて、コラボ先の方とコミュニケーションを取りやすくなれば、もっと活性化するんじゃないかということで着手しました」。実際に、今月19日には、サンリオ初開催のバーチャル空間での音楽フェス「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」に出演するバーチャルアイドル・東雲めぐと社外コラボを果たした。

 新たな挑戦は、本当に受け入れられるか。慣れない機材の扱いにも不安があった。他のVtuberの配信を参考に勉強し、無我夢中で取り組んだデビュー1カ月は「あっという間だった」という。その中で一定の手応えも感じており、社内で声がかかる頻度が増え、商品の紹介など発信を依頼されることもあった。「やっぱりサンリオの社員として、そういう風に使ってもらうってことが大事だと思います」と言葉に力を込めた。

 来春までの目標として、ツイッター、YouTubeの登録者数1万人を目標に掲げた。「今はサンリオの社内全員に応援していただくことが大事だなと思って、日々がんばっています。まだまだ開始1カ月で何をやったらいいか分からないこともたくさんある状態なんですけど、サンリオキャラクターの魅力を伝えるという根本の部分は常に忘れずに、キャラクターと一緒に成長していけるようにがんばりたいです」と決意を語った。

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