劇場で“読書の秋”満喫「ムーンライト・シャドウ」で吉本ばななに酔いしれる

伊藤 さとり 伊藤 さとり
等役の宮沢氷魚(左)とさつき役の小松菜奈=(C)2021映画「ムーンライト・シャドウ」製作委員会
等役の宮沢氷魚(左)とさつき役の小松菜奈=(C)2021映画「ムーンライト・シャドウ」製作委員会

 実は本作も日本製作でありながら、エドモンド・ヨウというマレーシア出身の監督がメガホンをとっています。そもそも監督自身も原作ファンであり、プロデューサーからのオファーに対して自分ならではの構想を綴って返信したほど。その結果、原作には描かれていないさつきと等のデートシーンや、弟カップルとのダブルデートの様子をファンタジックに描き、更には謎の女性うららの日常の姿も映し出す他、センスが光る衣装やロウソクによる光の効果、小道具を用いたドミノ遊びなどを散りばめ、原作の世界観を大切にしたリリカルな映像を完成させました。

 何より、さつき役にモデルとしてデビューし、今や映画はもちろん、広告にも引っ張りだこの人気女優・小松菜奈、等役にはモデルで俳優の宮沢氷魚、等の弟・柊役には俳優の他にもアーティスト活動も行う佐藤緋美、その恋人ゆみこ役には海外広告のイメージモデルとして活躍する中原ナナ、そして謎の女性うらら役に臼田あさ美という皆が絵になるキャスティングが吉本ばななワールドらしい幻想的な作風をリアルなものにしているのです。世界に認められる文学が持つポエトリックで叙情的な映画を劇場で観られるチャンス。“読書の秋”と言われるこの季節に、文学を映画化した美しい映像世界に酔いしれてみてはいかがですか?

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