大人がはまる“カプセルトイ“第4次ブーム到来の要因 日本ガチャガチャ協会会長が分析

松田 和城 松田 和城

 現在、第4次ブームが到来している「カプセルトイ」。専門店「ガシャポンのデパート」は2020年8月以降、全国に20店舗以上を展開しており、池袋総本店は3010面の機体が設置され「世界一カプセルトイ機が多いお店」としてギネス記録にも認定されている。日本ガチャガチャ協会会長の小野尾勝彦氏がよろず~ニュースの取材に応じ、「大人ユーザーが多く、これまでと異なる展開を見せている」という盛り上がりについて語った。

 カプセルトイは、2年前から若い大人の女性を中心に再ブームが巻き起こったという。コミュニケーションアプリなどで、おじさんが女性に送りそうなメッセージが書かれた「クソリプおじさんバッジ」のように、おもしろさを共有できる商品が、人気に火を付けた。「ガチャガチャってすごくSNSに親和性があるんです。女の子は買ったやつをインスタとかに投稿してくれるんですね。そしたら『こんなの売ってるんだ、おもしろいね~』というふうにどんどん拡散されて売れる流れができています」と明かした。

 また、2010年代の第3次ブームで累計2000万個売れた「コップのフチ子シリーズ」の影響もあると語る。「ちょうど第3次ブームの時期に、スマホがガラケーの台数を抜くんですね。200円とか300円で買ったものをアップしてみんなで楽しむっていう形ができてそれがずっと続いていると思いますね」。

 そして最近の商品網は大人の女性をターゲットに作られている。同氏は「BanG Dream!」プロジェクトを手がけるブシロード社が「TAMA-KYU(たまきゅう)」というオリジナルカプセルトイブランドを立ち上げたことを例にあげた。「ブシロードクリエイティブの成田耕祐社長がもともとKADOKAWAさんにいた方で、キャラクターをつくるのがすごく上手いんです。女性を取り込む流れというのは今までになく、新しくておもしろいなと思いました」と振り返った。

 過去、カプセルトイは、1980年代にキン肉マン消しゴム、90年代にはポケモンやウルトラマンのフィギュアで、子供を中心に盛り上がりを見せた。これらに共通しているのは“キャラクター“が関わっているということ。「もともと売れるコンテンツはアニメによる影響があります。現在だと、『鬼滅の刃』は本当に子供から大人までみんなに知られるコンテンツになったので、そこからガチャガチャ自体も売れて、ロケーションが増えました。そういった意味では大人も買いやすくなったと思いますね」と語った。

 最近では完全キャッシュレスの機体も山手線沿いの駅などで設置され、交通系電子カードやLINEPayで支払い可能だ。財布を出す手間が省け、需要も高いのでは?と問うと「カード会社にお金を出すために手数料を支払わなければいけないので、なかなか導入が難しいんですよね。それが結構ネックで…。そこでロイヤリティを取られると厳しいので、アナログのコインの方がまだまだ主流ですね」と答えた。

 ガチャガチャ市場の売り上げは微増が続いており、2020年では約350億円~400億円の市場規模となっている。メーカーも約30社にのぼり、月に約300シリーズ前後の商品が出ている。「昔と違って商品のバリエーションが増えているんですね。なのでビジネス的にはずっと継続していくんじゃないかなと思っています。『あこや真珠ガチャ』のように“地方活性化”という風にカテゴライズされたものが増えていくのでは」と今後を展望した。

 小野尾氏は、現在ガチャメーカーの商品・企画開発のサポートを行っている。27年間ガチャガチャビジネスに携わってきた同氏は、ガチャの魅力について「やっぱり、回して何が出るか分からないっていうのがおもしろい。みんなそれにワクワクして一喜一憂するんじゃないんですかね。出たら嬉しいし、出なかったら悲しい。ただ必ず“もの”は出るので。魅力は変わらないと思いますね」と力強くうなずいた。

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