よろず~ミステリークイズ 「疑惑の遺言状」資産家を殺したのは? #15

白峰 良介 白峰 良介

 資産家の東森功蔵氏から、顧問弁護士の私に急な電話がかかってきた。 
 「遺言状を書き直すから、すぐ来てくれ」
 驚きながらも承諾の返事をする。
 「あいつには愛想がつきた…財産はやらん」
 功蔵氏は、独り言のように言うと電話を切った。私は首を傾げた。『あいつ』とは誰だろう?功蔵氏には妻と2人の子供がいるのだが…。
   ◇   ◇
 東森邸につくと、長女の香織が出迎えてくれた。
 「パパなら書斎にいるわ」
 廊下を歩いていると、横の部屋から長男の良樹が現れる。
 「なに? 気になるね」
 私たちは3人で書斎の前に立った。扉をノックする。だが返事はない。何度か呼んでも同じだった。私は思い切って扉を開けた。
 部屋の中が視界に入ってくる。
 「パパ!」「オヤジ!」
 香織と良樹が同時に声をあげた。
 床に、功蔵氏が倒れていた。首にひも状の物が巻き付いている。私はすぐに功蔵氏に近づいたが…もう死んでいた。
 「何かあったの?」。廊下から、妻の晴子の声がした。彼女は夫の死体を見て絶句した。
 私は、部屋を見回す。窓が少し開いている。その時、一陣の風が書斎の中へ流れ込み、机の上の封筒を飛ばした。
 「あ、遺言状が」
良樹の声で、風で床に落ちた封筒を拾い上げる。中の紙をとりだすと、確かに遺言状だった。
 「警察を呼ばなきゃ!」。香織が声をあげた。
   ◇   ◇
 警察が来るまでの間、私は考えた。誰が功蔵氏を殺したのか…。
 遺言状を読むと、財産を3人の親族に平等に分けるという内容だった。変だ…電話の話とは違う。遺言状を、何も書かれてない白い封筒に戻しながら、さらに考える…。
 その時、気がついた。犯人がわかったぞ!

 さて、弁護士が推理する犯人は? 

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