よろず~ミステリークイズ「合い鍵と泥棒」 #08

白峰 良介 白峰 良介

 「あっ……ひどい!」

 芝野初美は、ドアを開けて室内を見た途端、悲鳴に近い声をあげていた。
 一人住まいの1DKの部屋は、見るも無残な状態だった。タンスの引き出しが飛び出し、物が散乱している。観葉植物が倒れ、床は土足の足跡だらけ。入口のマットや、玄関に落ちている郵便物にも足跡がついている。

 「どろぼう…」
 初美はあわてて、110番に電話した。

   ◇   ◇

 「現金と宝石類が盗まれてました…」
 ため息をつき、担当刑事に被害を告げる。刑事がメモを取りながら質問してきた。

 「あなたは日曜の朝に出かけ、月曜の午後5時頃に帰ってきたんですね」

 「ええ、休みがとれ実家に帰ってました」

 「ドアの鍵穴に傷がなく、犯人は合い鍵で侵入してますね。合い鍵を渡した人がいますか?」 「恋人の城谷雄也に渡してます。それと友人の森川咲子に鍵を預けた事が…。海外旅行中に観葉植物に水をやってもらうためでした」

 「その人たちの話を聞いてきます」

城谷雄也の証言                                    「合い鍵を持ってるけど僕が盗むわけないだろ。日曜は朝から夜中まで友人と遊んでいてアリバイはあるね。でも月曜は全然ないな」

森川咲子の証言                                   「鍵は預かったけど、合い鍵を作ったりしないわ。日曜も月曜も朝から夜までバイト。日曜の夜は一人だったけど…。そうだ。一度、鍵を妹の花恵に渡したわ。観葉植物の世話を代わってもらったから」

森川花恵の証言                               「姉から鍵を預かり、初美さんの部屋に行ったことがあります。日曜の午前は一人でしたが、午後から月曜の夜まで友人と一緒でしたよ」

 3人の容疑者のアリバイを調べると、証言通りであることがわかった。新たな手がかりもなく、手詰まりかと思われたが…。
 ふと、刑事はある事に気がついた。
 「そうか、時間を特定できるぞ!」

 さて、泥棒はだれでしょう?

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