よろず~ミステリークイズ「密室の暗号」 #04

白峰 良介 白峰 良介

 私立探偵の瀬尾は、依頼人が告げた名前に驚いていた。
「浮気の調査対象が、山宮友里…ですか」
 同僚の探偵である早見が、念を押した。
「あの、有名女優の?」
 依頼人が大きくうなずいた。彼は、女優・山宮友里の夫だった。
「浮気していると思う。その証拠をつかんでください」
 瀬尾と早見は顔を見合わせた。この探偵事務所はじまって以来の大きな仕事に思えた。

   ◇    ◇    ◇

 探偵たちは、山宮家に盗聴器をしかけた。依頼人の許可を得ているので法的問題はない。盗聴器越しに、彼女の行動をチェックする日々が続く。
 すると、ある日の午後。盗聴器が、携帯電話に出る山宮友里の声を拾った。
「はい…部屋は『ピストル・カントリー』…わかったわ。今から出ますね」
 30分後。家から出た山宮友里を尾行する。彼女の目的地は、都心にあるHホテルだった。ここで浮気相手と密会するところを写真に撮れば、仕事は完了だろう。
 だが…。女優のほうが一枚上手だった。彼女はエレベーターを何度も乗り換え、乗るのが自分一人になるまでそれを繰り返したのだ。これで尾行をまかれ、その日、密会の証拠はつかめなかった。
 しかし、ここでくじけては探偵は務まらない。瀬尾と早見は、それから数日かけてホテルの従業員を協力者にし、山宮友里と浮気相手が密会した部屋が、1092号室だという情報を手に入れた。

   ◇    ◇    ◇

 それから1週間後。盗聴器が再び、彼女の声を拾う。
「はい…今日は『ストロベリー・ミート』ね。すぐ行きます」
「よし、尾行するか」
 早見の言葉に、瀬尾が首を振った。
「もう尾行は不要だよ。簡単な暗号遊びで不倫を楽しんでいたんだな。今日、彼女が密会するのは…」
 さて、『暗号』を解読して出る答えは?

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