ファッションデザイナー・コシノヒロコ氏(84)が監修し、一般応募から選ばれたモデル計100人が出演したファッションショー「GET YOUR STYLE!」が5日と6日、兵庫県立美術館で開催された。4日にはモデルへのフィッティングが行われ、着こなし方を指導したコシノ氏は「こういうのに出ると自分に対する意識が違ってくると思う。そうすると普段の動きとか行動が変わってくるんじゃないかな。それを期待しています」と語った。
フィッティングでは100人の着付けや小物の組み合わせを立て続けにチェック。出演者全員がコシノ氏のショーへ初参加というアマチュアモデルであるだけに、「ポケットはある?途中で(手を)入れるのは大変だから最初に入れてから出す」などとポージングも直接指導した。「普段自分でどうして歩いているかというのをみんな本当に意識していないんです。だから、こういうところへ来て見られているとなると突然硬くなっちゃう」。「われわれがちょっと言ってあげるとハッと気がつくわけ。一人一人に対していろいろな刺激を与えていっているというのがわれわれの仕事だから。これが終わった後、自分たちの生活の中にいろいろな面で自分を見直す良いチャンスかなと」と話した。
さらに、コシノ氏は目の前にモデルが現れるとすぐに「袖を上げた方が良い。ぐちゃぐちゃっとして」、「ボタンを1個開けて」などと着付けについてもスタッフへ指示。靴下と洋服が合わない際には、「このくらい(くるぶし丈)だったら白。このくらいまで(ふくらはぎ丈)だったら黒」とその場でイラストを描いてイメージを伝えていた。
ずらりと並んだルックを次々にさばいていく決断力の源は「ひらめき」だという。「何が足りないかというのが見えてくるんです。その人自体のイメージを高めるにはどうしたらいいかというのは、まず基本は洋服を似合わせることが大事」と話した。
ショーは2日間行われ、一般応募者500名から選ばれた10代~90代の女性が各日50人ずつ、コシノ氏のブランド「HIROKO KOSHINO」「TRUNK」「HIROKO BIS」の最新作のコーディネートを着用した。登場する洋服は店頭で販売しており「誰でも着られるように作っている」というもので、モデルの選考では年齢や体型にバリエーションを持たせたという。1つのコーディネートを1日目と2日目で違うモデルが着用する。「内容が違ったら同じ服を着ていても同じ洋服に見えないです。その人の個性というものをなるべく重視しながら着せ付けをしています」と語っていた。
「仕事に関しては厳しいです。普段は一緒になってキャーキャー言っているけど」というコシノ氏は6日のショー当日、待機中のモデルの緊張をほぐすように笑顔で話しかける姿もみられた。本番ではモデルたちが自然で堂々としたウオーキングを披露。ショー終了後、コシノ氏はモデルたちへ「素晴らしく歩きが上手くなって、みなさん堂々としていました。人の目の前で自分の着ているものを見せるっていうのはもちろん緊張もあるんだけど、まずお顔がすごく輝いている。これって私たちの生活の中にとても必要なことかと思います。普段から思いっきりおしゃれを楽しんで。誰がみているかわからないんだから。気の抜けない、かっこいいおしゃれをしましょうね」と話していた。
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