偏見や差別を知るにはオスカー候補作を見るといい…「米アカデミー賞」伊藤さとりの視点

伊藤 さとり 伊藤 さとり
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[身近に潜む“依存症”の正体]

 “依存症”とは、アルコール依存症、薬物依存症だけではなく、もっと身近にある病であり、仕事に没頭したり、愛する人にとって自分は必要な存在だと信じ込んだりすることで“自分と向き合わずに生きている”心の問題だと映画では伝えています。愛する人がそこに居る未来を想像して自分で決断することは果たして間違いなのでしょうか?

 これらのテーマの主人公のほとんどは、今まで女性でした。大島渚監督の『愛のコリーダ』では阿部定というヒロインが愛に溺れて狂気の結末を迎えますが、そこまでいかなくても男だって愛する人の気持ちに合わせすぎたり、仕事に没頭したりして、本当の自分の気持ちと向き合うことから逃げてしまう生き物が人間なのだと思うんです。そして今までこの手の映画なら主人公が女性で、彼を思い続ける光景がスクリーンに映し出されるのが一般的だったのではないでしょうか。それでも私にはこの主人公の男性の一途さや弱さがとても魅力的に見えたし、人間だから人に支えてもらわないと不安だよねと納得したほどでした。さて、あなたの目には彼は一体どう映るのでしょう?

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