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母の遺言は「妹に全財産」→介護を丸投げの長男はゼロ!?… 知っておくべき「相続の遺留分」とは【行政書士が解説】

マネ活

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仕事が忙しいといって、実家の母の介護を妹に任せきりにしていたAさん。母が亡くなり、遺された遺言書を開封したところ、そこには「全ての財産を妹に譲る」とだけ記され、Aさんの名前はどこにもなかった。

これに対してAさんは「自業自得だ…仕方ない」と痛感しつつも、母に拒絶されたような寂しさと、自身の老後への不安が生じる。一方、妹も「お兄ちゃんは苦労も費用も全部私に押し付けた。絶対にお兄ちゃんには財産は譲れない!」と深い不満を抱えている。

このような状況で、Aさんは本当に母の財産を何も受け取れないのだろうか。北摂パートナーズ行政書士事務所の松尾武将さんに聞いた。

ー遺言書に名前がない子どもは、法的に遺産をもらう権利は一切ないのでしょうか?

民法では、配偶者や子どもなどの近い親族に対し、遺言書の内容に関わらず最低限受け取れる遺産の取り分として「遺留分(いりゅうぶん)」が認められています。

たとえ遺言書に「特定の誰かに全財産を譲る」と書かれていても、他の相続人(第三順位の相続人である兄弟姉妹が相続人の場合を除く)の権利を完全に奪うことはできません。Aさんも、母の実子である以上、法的に遺産の一部を請求する権利があります。

ー「遺留分」で請求できる金額の目安や、期限について教えてください

子どもが相続人の場合、遺留分は「本来の法定相続分の半分」です。今回のケースで相続人がAさんと妹さんの2人なら、法定相続分は各2分の1ですので、その半分である「全体の4分の1」がAさんの遺留分となります。

注意が必要なのは期限です。遺留分の請求(遺留分侵害額請求)は、「相続の開始および遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年以内」に行わなければなりません。1年を過ぎると時効で権利が消滅してしまうため、早めの対応が不可欠です。

ー介護を任せていた負い目がある場合、妹さんと円満に話し合いを進めるコツはありますか

一般論としていきなり権利だけを主張するのは最も避けたい悪手ではないでしょうか。長年介護を担ってきた妹さんの心情を害するのは目にみえています。遺留分がいかに法定の権利であり、当然主張できる権利だとしてもです。遺留分権の請求は割合による請求なので、対象となる相続財産の価額をどう定めるかにより、請求金額が増減します。

不動産の価額には様々な指標がある一方で一般に高額であることから、この価額をどう定めるかが特に問題になるようです。円満解決にこしたことはなく、話し合いが不調に終わると家庭裁判所を介した調停申立てへ至ることも考えられます。

私の職分では調停活動はできないので、ご親族間でのお話し合いに委ねられることになりますが、うまくまとまったケースでは、「今まで任せきりにして苦労をかけた」と労をねぎらったうえで、ご親族のを十分に尊重する姿勢を見せたものなどがあります。

「法律で決まっているから4分の1よこせ」という態度ではなく、「妹が頑張ってくれた分を考慮した上で、今後の自分の生活についても相談したい」と誠実に向き合うことが、泥沼化を防ぐひとつのすすめ方かと思います。

ー後悔しない相続のために、親が元気なうちに家族で話しておくべきことは何でしょうか

「誰が介護を担い、その対価をどう遺産に反映させるか」を可視化するのもひとつの方法です。

「介護は家族で助け合うもの」という曖昧な精神論で済ませるのではなく、今のうちから負担の偏りを家族全員で共有し、必要であれば「介護を頑張ってくれているから、妹に多めに遺す」といった合意を、親が元気なうちに形成しておくあり方もあります。

透明性のある話し合いがなされていれば、亡くなった後の「拒絶された」というショックや、相続人間の不公平感を最小限に抑えることができます。必要に応じて、弁護士などの専門家を交えて、相互に納得性の高い解決策を模索することも有用かと思います。

◆松尾武将(まつお・たけまさ) 行政書士
長崎県諫早市出身。前職の信託銀行時代に担当した1000件以上の遺言・相続手続き、ならびに3000件以上の相談の経験を活かし大阪府茨木市にて開業。北摂パートナーズ行政書士事務所を2022年に開所し、遺言・相続手続きのスペシャリストとして活動中。ペットの相続問題や後進の指導にも力を入れている。

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