小・中学生の保護者の皆様、こんにちは。「おうち受験コーチング」代表の鈴木詩織です。
12月は多くの小中学校で通知表(成績表)が手渡される時期ですね。親御さんとしては、ついつい「◎は減ってないか」「5段階評価の数字はどうなっているか」と目がいきがちですが、大切なのはそれだけではありません。
①通知表は「わが子の才能」を示す羅針盤
現在の通知表には、お子さんの「個性」と「才能」を伸ばすための羅針盤が隠されています。ポイントは、文部科学省の学習指導要領に基づく「資質・能力の3つの柱」による観点別評価です。通知表では、各教科で主に次の3つの観点から評価がつけられています。
・主体的に学習に取り組む態度(学習への意欲・姿勢)
・知識・技能(基礎的な知識を覚えているか)
・思考・判断・表現(知識を使って考え、表現できるか)
これらの評価の組み合わせこそが、お子さんの現状を客観的に示し、受験を成功に導くための「伸ばしどころ」を教えてくれるのです。
②評価の組み合わせでわかる!わが子の才能と成長のための声かけ
3つの観点すべてが「A・◎(良い)」でなくても大丈夫。それぞれの観点で評価が高い(〇)部分と低い(×)部分から、わが子のタイプと、親がすべき成長のサポート(声かけ)が見えてきます。
▼観点評価(主体的〇/知識×/思考×)
【お調子者タイプ】人当たりが良く愛嬌があるが、内実が伴っていない。
成長のためのポイントと親の声かけ…まずはこれをやってみよう!と調子よく目の前に課題を差し出し、着実に達成する習慣を。
▼観点評価(主体的〇/知識〇/思考×)
【真面目タイプ】言われたことをコツコツやり、基礎は固いが、応用や柔軟な発想が苦手。
成長のためのポイントと親の声かけ…「他にやり方はあるかな?」と問いかけ、思考を柔軟にするトレーニングを促す。
▼観点評価(主体的×/知識〇/思考×)
【縁の下の力持ちタイプ】基礎知識は定着しているが、自分から動かない、目的意識が低い。
成長のためのポイントと親の声かけ…「これは何のために学ぶの?」と目的を問い、自分の意見や目標を持たせて自発性を促す。
▼観点評価(主体的×/知識×/思考〇)
【隠れた才能タイプ】ひらめきや発想力は高いが、知識定着や日々の努力(主体性)が苦手。
成長のためのポイントと親の声かけ…「その発想、すごいね!せっかくなら、毎日3分、やってみない?」と、才能を承認しつつ、習慣化を最優先で確立させる。
▼観点評価(主体的×/知識○/思考〇)
【賢い天然タイプ】成績は良いが、提出物や授業態度など(主体性)に問題がある。
成長のためのポイントと親の声かけ…「〇〇の勉強、下の子に教えてあげてくれない?」と、高い知識を人に教える役割を与え、他者への責任感を通じて主体的な態度を育む。
▼観点評価(主体的〇/知識×/思考〇)
【おっちょこちょいな天才タイプ】理解力・意欲は高いが、ケアレスミスや忘れ物で知識が定着しきらない。
成長のためのポイントと親の声かけ…忘れ物やケアレスミスを一緒に確認し、「基礎固め」のプロセスを親がサポートする。
▼観点評価(主体的〇/知識〇/思考〇)
【優等生タイプ】なんでもソツなくこなすが、完璧主義で失敗を恐れ、他者への理解が乏しいことも。
成長のためのポイントと親の声かけ…「完璧でなくてもいい」と伝える。確かにそれは正しいけれど、言われた子はどんな気持ちだったかな、と相手の気持ちを考えさせる。
③親からのポジティブな声かけで短所をカバーしよう!
通知表を受け取ると、親はつい「できていないところ」「短所」ばかりに目が行きがちです。しかし、親のネガティブな言葉で子どものやる気を削いでしまうと、受験は成功しません。
通知表は、ダメ出しのための表ではなく、「わが子の取扱説明書」です。
得意な観点(〇)は、その子の「強み」であり、受験を乗り切るためのエネルギー源になります。その強みを最大限に褒め、承認してあげてください。
その上で、上記で解説したように、子どものタイプに合わせた具体的な声かけで、不足している観点(×)をそっとカバーしていきましょう。
もうすぐ2026年。お子さんが夢に向かって大きく成長するために、親であるあなたはどんな言葉をかけますか?通知表をきっかけに、わが子の未来をポジティブに語り合ってみましょう。
<プロフィール>
鈴木詩織
受験コーチング協会代表理事。中学受験・高校受験・大学受験を目指す親子向けの受験コーチングをオンラインで行う「おうち受験コーチング」のサービスを展開。4000家庭以上の親子の受験に向き合う。著書に『おうち受験コーチング』『子どもが自走する言い換えビフォーアフター』共著に『おうちエニアグラム』いずれもみらいパブリッシング。