東大合格に圧倒的な実績を誇る予備校、鉄緑会について、教育ライターの布施川天馬氏が26日に書き込んだXの内容が、240万回以上の表示となるなど、話題を集めている。
布施川氏は、大学入試の最難関、東大理科三類の合格者を取材した「東大理Ⅲ」の編集長も務めており、今春に理Ⅲに現役合格した18人を取材。そのうち11人が鉄緑会に通塾していたという。
「鉄緑会の話を聞くと毎回思う。これ、“東大に受かるための人生”になってないか、と。結果、理Ⅲ合格者の44%が鉄緑会出身。確かに数字見れば圧倒的だが…中3で高3内容を終了、週10~15時間の宿題。鉄緑会のカリキュラムは、まず中3までに高3内容を終えるという時点で常軌を逸している。そこに週10~15時間分の宿題が重なり、学校の授業は“内職の場”へと変わってしまう。」と強烈なスピードでカリキュラムを進めるために、大量の宿題が課される実態を疑問視。「『学校より塾が本番』前提の受験体制を、果たしてこのまま当たり前として良いのだろうか。」とした。
この書き込みに、教育関係の記者が「鉄緑会に取材に行きましたが塾側は1日30分で週に3時間で終えられるように宿題を出しています。その時間で終わらないのはレベル感があってないので転塾すべき」と指摘した。
それを受け、布施川氏は再び記述。「11名中8名が『内職しないと宿題が終わらなかった』と回答されています。ちなみに『1科目だけ』など甘い話でもなく、むしろ『体育や芸術など実技科目以外はすべて内職していた』と答える子すらいました。内職しなかった3名についても、そのうち2名は『内職だと集中できないから』と答えており、『内職なんて必要がない』と回答されたのは、わずかに1名だけでした。」という取材結果を紹介した。
続けて「もちろんこれが、鉄緑会全体の中で言えば、わずかな数字に過ぎないことはわかっています」と前置きをしながら、「鉄緑会全体の内、わずか40名余りしか排出されない塾内のトップオブトップのうち、およそ20%もの学生が『鉄緑会の宿題は内職しないと終わらない』と回答していることは、明らかに塾側の認識とのずれを感じさせるのではないでしょうか。」とも。
「最上位層すらも、内職しないとついていけない宿題を出し続けながら『鉄の宿題は内職しなくても終わる』とおっしゃるならば、理Ⅲ現役合格の学生すら鉄緑会に通う資格が無くなることになります。となれば、日本全体を見渡して、いったい何人に『鉄緑戦士』の資格が与えられるのでしょうか。」と問いかけた。
布施川氏は「なんだか、そこまでして高校までのお勉強に必死になる必要はあるのかな?と思ってしまいます。勉強ってそれ自体は思考を鍛えるツールに過ぎず(知識や技法の練習も、特に理系は大事でしょうが)ある程度以降は受験問題トレーニング以外の分野にも手を出したほうが総合的にためになりそうな気も」とコメント。
自身も東大卒という経歴だけに「『東大まで頑張って、そこから先手を引いてくれる存在がなくなって堕落/挫折する人』は割といます。受験に勝たせるのが目的で、QOL追求は二の次なのでしょうが……。バランス取ったほうがいいのでは?と考えるのはそんなにおかしいことなのでしょうか。」と、東大合格後の“後輩達”を心配する思いもつづった。
これらの書き込みには様々な意見が寄せられている。