高校受験で公立高校を第1志望とする場合、不合格に備えて併願で私立高校を受験することが多い。しかし私立高校は学校数が多く、コースや校風、入試方式もさまざまであるため、どの学校を選ぶべきか判断に迷うことも少なくない。長女(現在中学3年生)の場合も、併願校の選定には時間をかけているところだ。
筆者の家庭では、長女が公立高校を第1志望とすることを早い段階で決めていた。しかし中学3年生の夏の時点では、公立高校の制度(内申点、重点化、特色検査の有無など)を理解するだけで精一杯で、私立高校の情報収集にはほとんど手が回っていなかった。公立高校の部活動体験や学校説明会には参加したものの、私立高校の説明会には1校も行けず、気づけば夏休みが終わっていた。
その後「そろそろ併願校のことも本気で考えないと」と思い始めたのは秋に入ってからだった。しかし地域の私立高校は数が多く、それぞれの学校の情報を公式サイトだけで比較しても、違いがはっきりと掴みにくい。そこで参考になったのが、10月に開催された大手塾主催の私立高校入試相談会である。首都圏の私立高校が一堂に集まり、各校の担当者と直接話ができる大規模なイベントだ。
参加にあたっては、書店で購入した高校案内冊子と各校の公式サイトを見比べ、「通学時間」「コースの種類」「校風」などのポイントを基準に、候補を数校まで絞り込んだ。さらに、内申点や模試の偏差値、取得している資格などを記入したシートを準備して当日に臨んだ。
実際に会場で各校の担当者と話してみると、「どの入試方式なら合格可能性が高いか」「このコースは学習のフォローが手厚いので安心できる」といった、かなり具体的なアドバイスをその場でもらうことができた。パンフレットだけでは見えにくい、学校の雰囲気や生徒の様子についても直接聞けたことで、「現実的に受けられる学校」「本人が通いたいと思える学校」が明確になり、最終的に候補は2〜3校に絞ることができた。
今後は、候補に残った私立高校の説明会や施設見学に参加する予定である。秋から初冬にかけてはスケジュールがやや慌ただしくなる見通しだが、実際に足を運び、学校の雰囲気を自分の目で確かめることを大切にしたいと考えている。12月の三者面談までには併願校を決め、受験に向けて落ち着いた状態に整えていきたい。
私立高校は学校数が多いため、公立高校と同じペースで一校ずつ丁寧に見ていくのでは時間が足りないと感じた。まずは書籍や公式サイトで候補を絞り、次に合同イベントで直接話を聞き、最後に気になる学校だけ個別説明会に行く。この“3段階”で進めると、効率よく現実的な併願校を選べると感じている。
公立高校を第1志望とする場合でも、併願で私立高校を受験することは「保険」ではなく、「もうひとつの選択肢」である。本人が「ここなら行ってもいい」と思える学校を用意しておくことで、受験期の精神的な安心感は大きくなる。
<プロフィール>
野田 茜
2男1女のママライター。2022年、高1長男が完全塾なしで中学受験をし、偏差値(四谷大塚)60半ばの中高一貫校へ進学。現在、小5次男が通信教材を利用し自宅学習で中学受験に挑戦中。自身は中学受験未経験で大学まで公立育ち。中学受験の問題の難易度にまったく歯が立たず、逆に子供に教えられる。「ママ、教えてあげよっか?分かる?」と次男に心配される日々。