中学受験に取り組む家庭にとって、入試直前の数週間から1か月は、勉強内容の仕上げと同時に「本番をどう迎えるか」の準備期間でもある。特に小学6年生の1月以降は、生活リズムや食事、持ち物なども含めて本番仕様に切り替えていくことが大切だと実感した。
筆者の家庭では、長男(現在高校1年生)が中学受験生だったとき、1月に入ってから少しずつ日常のスタイルを受験当日に合わせて調整していった。具体的には次の4つである。
まずは起床時間。普段は7時起きだったが、本番に合わせて徐々に早め、最終的には5時起きに慣れるようにした。朝型に切り替えたのは、入試本番だけいきなり早起きしても体や脳が十分に働かないと思ったからだ。試験時間に最高のパフォーマンスを発揮できるように、コンディションを整えておきたいと考えた。起床時間に合わせて就寝も早め、家族全員で早寝早起きを実践した。
次に、朝ごはんを固定した。受験当日は「いつも通り」が何よりの安心になると考え、白米・味噌汁・納豆といった定番メニューを直前期は毎朝用意した。本番で「お腹が痛いかも?」と思う不安をなくしたかったし、毎日同じものを食べることで体のリズムが安定し、トイレのタイミングが予想できて安心につながると考えた。
さらに、持ち物の練習も行った。入試で実際に使うリュックに荷物を詰め、準備にどのくらい時間がかかるのかを体感させた。鉛筆の本数や防寒具など、忘れやすいものを事前に確認しておくことで、親も子も安心できた。家で過去問演習をするときも同じようにリュックに荷物を入れ、その中から必要な文房具や防寒具を取り出して臨むようにした。
また、過去問演習では、本番と同じ開始時刻・終了時刻・休憩時間・科目順で取り組み、できるだけ試験環境を再現した。普段の演習よりも緊張感が増し、時間配分や集中力の持続を確認するよい機会になった。
入試直前期というと、最後の追い込みで学習内容に注目しがちだが、生活習慣や当日の流れをシミュレーションしておくことも、安心して本番に臨む土台になる。受験当日を想定して親子で過ごした準備の日々は、長男にとっても筆者にとっても、不安要素を取り除き、本番の想定外に対処する余裕を生み出すための貴重な時間だったと感じている。
<プロフィール>
野田 茜
2男1女のママライター。2022年、高1長男が完全塾なしで中学受験をし、偏差値(四谷大塚)60半ばの中高一貫校へ進学。現在、小5次男が通信教材を利用し自宅学習で中学受験に挑戦中。自身は中学受験未経験で大学まで公立育ち。中学受験の問題の難易度にまったく歯が立たず、逆に子供に教えられる。「ママ、教えてあげよっか?分かる?」と次男に心配される日々。