中学受験といえば、まず頭に浮かぶのが塾通いだろう。「塾なしは無理」「一部の特別な子だけができること」というイメージを持つ人も少なくない。実際に筆者も長男(現在高校1年生)の中学受験が始まった2018年当時は、塾なしでの挑戦は“レアケース”だと感じていた。それでも家庭の事情や子どもの性格を踏まえ、長男は塾に通わずに挑戦した。塾のホームページで販売されているテキストを使い、親も手探りでサポートしながら何とか合格までたどりついた。
では、現在の中学受験の難易度はどうなのだろうか。筆者の感覚では、当時と比べて2025年の今は「塾なし中学受験のハードルは下がってきた」と感じている。もちろんまだメジャーと言いがたいし、経験者やプロに尋ねれば「ほぼ無理」という答えが返ってくるだろう。しかし、この数年で社会の環境が少しずつ変わり、塾に通わないという選択肢がより現実的なものになってきていると感じている。
YouTubeはすっかり日々の生活に定着し、発信する側・視聴する側双方にとって当たり前の存在になった。中学受験のプロを含む教育系YouTuberによる質の高い動画も増え、子どもが自宅で楽しみながら学べる環境が整ってきている。また、動画だけでなく子どもがゲーム感覚で取り組めるような学習アプリも豊富になり、楽しみながら知識を身につけられるようになってきた。実際、長男も「都道府県の位置」「歴史年号」「星座」などは、こうした学習アプリや動画を活用して覚えた。
また、親向けの動画や受験経験者・専門家によるブログ、X(旧Twitter)などを通じて、さまざまな視点からの情報に触れられるようになり、以前よりずっと情報の壁が低くなっていると感じる。もちろん、通塾していれば、よりカスタマイズされた情報を得ることはできるが、それも学習相談や家庭教師をスポット的に利用すれば、ある程度は対応可能だ。
さらに、コロナ禍をきっかけにテレワークが一気に広がり、出勤が当たり前だった働き方が見直されるようになった。働き方によっては、これまで平日にほとんど子どもの学習に関われなかった親が、食事や休憩の合間に声をかけたり質問に答えたりと、以前より子どもに関わる時間を確保しやすくなっている。コロナ禍は家族の学習サポートのあり方を見直すきっかけの1つとなったのではないだろうか。
改めて現在の状況を見てみると、情報にアクセスできる手段や働き方が多様化したことで、塾なし中学受験に挑戦するハードルは低くなっていると感じる。決して誰でも簡単にできるものではないが、家庭の状況や子どもの性格に合わせて、それぞれに合った学び方をより自由に選べる時代になってきているように思う。
<プロフィール>
野田 茜
2男1女のママライター。2022年、高1長男が完全塾なしで中学受験をし、偏差値(四谷大塚)60半ばの中高一貫校へ進学。現在、小5次男が通信教材を利用し自宅学習で中学受験に挑戦中。自身は中学受験未経験で大学まで公立育ち。中学受験の問題の難易度にまったく歯が立たず、逆に子供に教えられる。「ママ、教えてあげよっか?分かる?」と次男に心配される日々。