「ヒートショック」という言葉を聞くと、冬のお風呂を思い浮かべる人が多いだろう。寒い脱衣所から熱い湯船に入ると血圧が急に変わり、倒れてしまうことがある。実は似たような身体の現象が、夏にも起きるのをご存じだろうか。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかることで起こる健康被害のこと。40度近い酷暑の屋外からキンキンに冷房の効いた室内に入ると、身体の血管が急に縮んでしまう。逆に冷えた室内から炎天下に出ると血管は一気に広がる。こうした変化が身体に大きな負担をかけ、めまいやふらつき、場合によっては心臓や脳のトラブルにつながる恐れもある。とりわけ高齢者や血圧が高めの人は注意が必要だ。
また、夏場は汗をかくことで血液の成分濃度が高くなり血栓ができやすくなるリスクもある。水分補給も大切だ。喉の渇きを感じにくくなっている高齢者は特に気をつけたい。
兵庫県伊丹市「たにみつ内科」の谷光利昭院長は予防のポイントについて、「できる限り日中の外出を避けること。外出する際は、着替えなど気温の変化に対応する上着を持参するとよいでしょう」と話す。
まだまだ暑さが続き、熱中症対策の注目される毎日だが、血圧の急変によるヒートショックも見逃せない。ちょっとした工夫で防げるトラブルだけに、今年の“残暑”は温度差にも気を配り、安心して過ごしたい。