認知症は予防が出来るのでしょうか?
そんなことは出来ないよと顔をしかめる人もおられるかもしれません。しかしながら、ある程度予防は出来るのです。認知症のリスク因子が次々と分かって来ています。今回は、リスク因子に関して説明をさせて頂きます。前回同様に、認知症の専門家である浦上克哉先生の知見を参考にして記載させて頂きます。
変化に乏しい生活を送っておられる人は認知症になり易いと言われています。日中にテレビを見て、ボォーっと過ごされている人は要注意です。
男女比で見ると、女性の方が1.5倍から2倍くらいの確率で認知症になり易いようです。女性の方は、積極的に予防策を講じることは大切です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、脳血管障害、心筋梗塞などの生活習慣病に罹患している人や肥満、メタボの人も認知症のリスク因子と言われています。
また、上記と似たような感じになりますが、油っぽい食事を好む人にも認知症が多いと言われています。脂質、飽和脂肪酸、コレステロールを大量に摂取すると認知症のリスクが上昇します。過剰飲酒、喫煙も認知症のリスクを高めます。これらは、まさに生活習慣病と言われているものです。食べすぎ、飲みすぎ、喫煙は自分の心がけで改善できる可能性があると思います。
我々医師が、最新のデータを学ぶ雑誌のひとつに「ランセット」という有名な雑誌があります。2020年のデータでは、12個のリスク因子が挙げられています。若年期の低学歴、中年期のリスク因子として、難聴、頭部外傷、高血圧、過剰飲酒、肥満、高齢期のリスク因子として、喫煙、抑うつ、社会的孤立、運動不足、大気汚染、糖尿病です。
浦上先生が提示されたデータと非常に似通っていることがお分かりいただけると思います。やはり、生活習慣を正すことは認知症の予防にとって、非常に重要であることが分かります。若年期の低学歴、大気汚染などは自ら避けることが出来ませんが、その他の因子に関しては、自ら注意することで軽減、治癒させることが可能です。まだまだ未知の部分が多い病気でありますが、諦める病気でもないようです。