映画「タクシードライバー」(1976年)、「エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事」(93年)などで知られるーティン・スコセッシ監督(83)が、かつてアンジェリーナ・ジョリー(51)主演で進めていた歴史大作「クレオパトラ」の映画化構想について語った。2014年のソニー・ピクチャーズに対する大規模サイバー攻撃によって企画が頓挫したことを明かし、コメディ映画「ザ・インタビュー」を手掛けたセス・ローゲンの名を挙げて冗談めかしく振り返っている。
エジプト最後の女王クレオパトラ7世の生涯を描き、スコセッシ監督はアンジェリーナを主役に据えた構想を長年温めていた。しかし、北朝鮮の金正恩総書記の暗殺計画を描いたローゲンのコメディ映画「ザ・インタビュー」を巡る騒動を発端に、14年11月にソニー・ピクチャーズがハッキング被害に遭ったことで、製作は完全に立ち消えとなった。
米ヴァラエティ誌にスコセッシ監督は「かつて『クレオパトラ』を撮る予定だった。しかし『ザ・インタビュー』の製作陣が金正恩総書記を揶揄したことで北朝鮮側の激怒を買い、コロンビアピクチャーズ全体を巻き込む騒ぎになった。セス・ローゲンが金総書記を怒らせたせいで『クレオパトラ』が台無しになった」「アンジェリーナ・ジョリーがクレオパトラ7世を演じる予定で、本当にワイルドな作品になるはずだった」と振り返った。
スコセッシ監督はユーモアを交えて語ったものの、製作中止の直接的な原因がローゲン個人にあるわけではなく、正確な頓挫の理由は明確にされていない。ただ、このサイバー攻撃によりソニーの膨大な機密メールや内部文書が漏洩し、映画界全体が大混乱に陥った背景がある。
流出した情報の中には、映画プロデューサーのスコット・ルーディンとソニーの元幹部エイミー・パスカルが交わしたメールも含まれており、ルーディンがアンジェリーナを「才能の乏しいワガママなガキ」と表現していたことが発覚して物議を醸した。
「クレオパトラ」の脚本には、後にスコセッシ監督作「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」でもタッグを組むエリック・ロスが起用されていた。「17歳のカルテ」「チェンジリング」「マレフィセント」などで知られるアンジェリーナとスコセッシ監督の初コラボレーションとして期待を集めていた企画だった。
ハッキング騒動の後、スコセッシ監督は「沈黙 -サイレンス-」「アイリッシュマン」「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」などを手掛け、映画製作を精力的に継続。一方のアンジェリーナも、パブロ・ラライン監督の伝記映画「マリア」でオペラ歌手マリア・カラスを演じるなど、第一線で活躍を続けている。