子どもの勉強中、夫が突然「厳しくしないとダメだ!」とキツい口調で怒り出し、子どもが恐怖で萎縮してしまうケースがある。「優しく教えてあげて」と頼んでも「甘やかすな」と逆ギレされ、どう対応すべきか困惑する母親は少なくない。
では、このように夫が急に厳しくなる裏には、どのような心理が隠されているのでしょうか。その理由や、子どもを守りながら教育方針をすり合わせる方法について、夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞いた。
ー普段育児に関わらない夫が、突然子どもに厳しくなる心理的理由は?
仕事やプライベートで心の余裕がない「焦り」や「八つ当たり」が大きな原因でしょう。「厳しく指導すれば悪さをしない」「良い子に育つ」という思い込みに加え、外で受けたストレスや不満が無意識に自分より弱い存在(子ども)へ向かっています。
「俺は外で苦労しているのに」という鬱憤晴らしとして子どもを標的にしてしまっているケースも少なくありません。本当の教育的配慮というより、自分自身の心の余裕のなさを教育という名目でぶつけている状態と言えます。
ー子どもが激しく叱責されて萎縮している時、妻はその場でどう介入すべき?
夫が怒り狂っているその場で反論すると夫婦喧嘩に発展し、子どもをさらに追い詰めるため、後から子どもを個別にケアするのが良いでしょう。夫の怒りが収まった後、子どもと二人きりになったタイミングで「怖かったね」「本当はどう思っているの?」と気持ちを聞き出しましょう。
打ち明けてくれたことに感謝し、「お母さんだけは自分の味方でいてくれる」という安心感を与えて心を守ることが最優先です。その場での真っ向勝負は避け、子どもの安全基地になることに徹しましょう。
ー「厳しくすべき」と主張する夫と、冷静に教育方針を揃える会話術は?
夫が冷静な時に「子どもに将来どうなってほしいと思っているの?」と質問を投げかけることです。怒声や威圧で指導しても子どもが萎縮して動けなくなるタイプであることを説明し、「あなたの気持ちはわかるけれど、私は子どもの心を守りたい」と自分の意思を伝えましょう。
相手の価値観を頭ごなしに否定するのではなく、子どもへの影響という客観的な事実を示しながら、夫婦2人だけの空間で冷静に議論をすり合わせることが大切です。
ー夫の過度な叱責や威圧が改善されない場合、どう対処すべきですか?
夫の過度な叱責が改善せず子どもに害が及ぶ場合は、専門家への相談や別居・離婚も視野に入れるべきです。過度な圧迫は家庭内DVやハラスメントに該当し、将来的に子どもから決定的に嫌われ見捨てられる原因にもなります。
妻1人で抱え込まずカウンセラー等の専門機関へ助けを求めましょう。同時に、世の中には理不尽な圧力をかけてくる人もいるため、子どものメンタルや対応力を育てる視点も持ちながら、子どもの安全を最優先に保護しましょう。
◆木下雅子(きのした・まさこ) 行政書士、心理カウンセラー
大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。