仕事のイライラやストレスを家庭に持ち込み、つい妻に八つ当たりしてしまう人は少なくない。これによって夫が「自分が悪かった」と深く反省して謝ろうとしても、妻から完全に口を聞いてもらえず無視され続けることもある。
なぜ人は身近なパートナーに八つ当たりしてしまうのだろうか。その理由や、冷え切った関係から脱却するための正しいアプローチや謝り方について、夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞いた。
ー仕事のイライラを、なぜ妻に八つ当たりしてしまうのでしょうか?
「自分と比べて相手が楽をしている」と感じたり、相手への甘えが働くためだと考えられます。外で辛い思いをして帰ってきた際、家で過ごす妻を見て「俺は苦労しているのに楽でいいな」と不満を抱いてしまいます。
また、妻が仕事で順調な場合に嫉妬し「お前は評価されていいよな」と当たるケースもあります。人は無意識に自分より立場が弱く、受け止めてくれそうな身近な存在へ不満をぶつける性質があります。そうした甘えと身近さが、無関係な妻への八つ当たりにつながってしまうのでしょう。
ー口を聞いてくれない妻に対し、真っ先に取るべき謝罪のアプローチは?
一切の「言い訳」をせず、誠実に謝ることです。仕事で上司に理不尽なことを言われた等の背景があっても、それを語った瞬間に相手には「言い訳」と伝わり、反省していないと受け取られます。
妻には何の落ち度もなく、完全にこちら側の問題です。「八つ当たりをしてしまって本当にごめん」と、自分の不適切な行動という事実に対してのみ頭を下げましょう。許すかどうかは妻が決めることであり、余計な弁明を挟まずに謝罪することが第一歩です。
ー謝っても無視されたり厳しい言葉を返されたりした時、どう対応すべき?
反論や言い返しを一切せず、自分の非を受け止めることです。勇気を振り絞って謝っても、「今更何言ってるの」「人間が小さい」と突き放されることは珍しくありません。
そこで「俺だって大変なんだ」「お前だって〇〇だろ」と言い返してしまうと、火に油を注ぎ事態は悪化します。許されるには時間がかかると覚悟を決め、言い訳をせずに反省の態度を示し続けましょう。言葉だけで即座に解決しようとせず、誠実な行動で示していく姿勢が必要です。
ー二度と八つ当たりを繰り返さないために、夫ができる対策や向き合い方は?
自分には「八つ当たりしてしまう気質がある」と素直に自覚することです。気質をゼロにする特効薬はありませんが、自分の傾向を理解しておくだけで不機嫌を抑制しやすくなります。
その上で、妻に「直した方がいいところがあったら教えてほしい」と頼んでおき、指摘されたら素直に認めましょう。駄目な点を指摘し合うだけでなく、日頃からお互いの良いところを褒めたり感謝を伝えたりして、承認し合える関係を築くことが最大の防止策になります。
◆木下雅子(きのした・まさこ) 行政書士、心理カウンセラー
大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。