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伝説ドラマの天才子役が「イモ欽」とコメディ初挑戦!“母”中村玉緒さん悼む…2児の母、夫の急逝乗り越え

北村 泰介 北村 泰介
44年前の名作ドラマで「天才子役」と称された女優の長谷川真弓。50代にしてコメディの舞台に初挑戦する=都内
44年前の名作ドラマで「天才子役」と称された女優の長谷川真弓。50代にしてコメディの舞台に初挑戦する=都内

 今年6月に亡くなった女優の中村玉緒さん(享年86)には数々の出演作の中で今も語り継がれる伝説的なテレビドラマがある。NHKドラマ「太陽の子~てだのふあ」だ。44年前の同作で「天才子役」と称された女優の長谷川真弓(56)がよろず~ニュースの取材に対し、母親役を演じた玉緒さんの思い出や原点となった作品を振り返り、家族のこと、目前に迫った出演舞台「更地にイモ欽そして歌~更地23~」(9~16日、東京・下北沢 小劇場B1)への思いを語った。(文中一部敬称略)

 灰谷健次郎の児童文学が原作のドラマ人間模様「太陽の子~」は1982年10~11月に全5話が放送され、長谷川は実年齢と同じ小学6年生の主人公「ふうちゃん」を演じた。

 舞台は終戦から約30年後の神戸。沖縄出身の両親(井川比佐志、中村玉緒)が神戸で営む沖縄料理店の一人娘として、若い常連客(内藤剛志、赤塚真人ら)と本音で向き合い、父が心を病んだ原因が沖縄戦にあると知ると担任教師(岸部一徳)に教えを請い、沖縄出身者(桜井センリ、白川和子ら)による故郷での想像を絶する体験告白に耳を傾け、心の痛みに寄り添う少女を好演した。

 「撮影当時は11歳。今だに『ふうちゃん』と呼んでくださる方が多く、印象に残る作品だったんだなと思います。そうそうたる方たちにも囲まれました。お父さん役の井川さんはいつもニコニコされていた。先生役の岸部一徳さんはザ・タイガースが再結成した頃で、LPにメンバー全員のサインをいただきました。(長老格の)千秋実さんとはその後、映画『花いちもんめ』(85年)でご一緒しました」

 中村さんとは81年5月に放送されたドラマ「生きてん、母ちゃん!」(読売テレビ)以来、2度目の共演だった。

 「玉緒さんにはロケで街の食堂などに連れて行ってもらったり、かわいがってくださった。沖縄の波照間島でのロケでは、石垣島から向かうチャーター船が台風接近でジェットコースターみたいにものすごく揺れて、その体験も玉緒さんとご一緒しました。私が30歳を過ぎた時に新歌舞伎座での玉緒さんの座長公演にも声をかけくださり、1カ月出させていただきました。玉緒さんってギリギリまで普通のおしゃべりをされていて、舞台に出るとシュッと役に入っちゃう。それは天才的だなと」

 ドラマでの会話は神戸弁。山口生まれ、関東(横浜)育ちの長谷川はアニメ「ひみつのアッコちゃん」のアッコ役などで知られる声優・太田 淑子さん(21年死去、享年89)の自宅に招かれ、撮影前の約1カ月間、特訓を受けた。

 「大阪弁とも京都弁とも違う。『しとってやねん』とか『と』が入るところとか。イントネーションも含め、太田さんにかなりたたきこんでいただきました」。第1話での「おじいちゃん、言うとってやったわ」、第4話での「沖縄のことなんでも知りたいんです。うちのお父さんの心の中には、まだ戦争が続いとうからです」といったセリフにその成果がうかがわれた。

 勝ち気で好奇心旺盛。年長者にも言うべきことははっきり伝える。そんな「ふうちゃん」の役柄は関西の下町が舞台ということも合わせて「じゃりン子チエ」を連想させた。長谷川は「そのイメージが私に近かったようで、その後、(チエの)ドラマ化の話が立ち上がって、かなり具体的に進んでいたようですが、実現しませんでした」と明かす。中村さんと最後に会ったのは18年1月に横浜で開催された「太陽の子~」を語るイベント。「私の代表作」は玉緒さんの思い出と共に宝物になった。

 その後、16歳で向田邦子原作のNHKドラマスペシャル「父の詫び状」(86年)に抜てきされ、大河ドラマ3作、TBS系ドラマ「予備校ブギ」(90年)などに出演。私生活では2001年にテレビ・ディレクターの髙橋正人さんと結婚し、03年に長男、11年に長女を出産。子育てをしながら仕事もセーブして続けたが、24年に夫が57歳で急逝した。

 「大動脈解離でした。朝起きて立ち上がって突然『やばい』と言ってバタンと倒れ、以上…でした。いったい何が起きたんだろうと…。お酒は飲まない、たばこも吸わない、玄米を食べて…という、これ以上ない健康的な生活だったのですが…。その日を境に生活ががらりと変わりました。当時、息子は大学3年、娘は中学2年。若い時に父親を亡くすのは難しいところです。先日、三回忌を終えました」

 人生の伴侶を突然失って2年。この夏は都内の稽古場に通った。イモ欽トリオ(山口良一、西山浩司、長江健次)や天宮良らと共演する大森カンパニー・プロデュースの舞台「更地に~」でコメディに初挑戦する。

 「稽古では、ちょっとした間(ま)だったりとか、周りの皆さんを見ながらため息ばかり…。苦労してます。面白いコメディなので楽しんでいただけると思いますが、たぶん私はアワアワしていると思うので、それも楽しんでいただければ」。実直な言葉と笑顔に「ふうちゃん」の面影が重なった。

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