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ザ・ハリウッドを思う存分楽しむ映画 きょう公開「オークストリートの異変」

伊藤 さとり 伊藤 さとり
「オークストリートの異変」©2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
「オークストリートの異変」©2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 J・J・エイブラムスと聞くと「スター・トレック」の監督やら「スター・ウォーズ」好きから「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」や「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」といった映画が思い浮かぶだろう。が、しかし、私、個人としては衝撃的な2008年の怪獣映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」の発案者としてプロデューサー名から記憶している。そこから話題シリーズの監督を経て2011年公開のオリジナル脚本による監督作「SUPER8/スーパーエイト」になるのだが、70年代、80年代の映画に影響されて映画業界に入ったのだね、と納得してしまう映画少年物語だった。

 その映画のプロデューサーは、何を隠そうエイブラムス監督本人がリスペクトしている監督、スティーヴン・スピルバーグ。多分、エイブラムス監督自身も才能を育てるのも好きで映画作りも好きだからプロデューサーもしているのだろうが、やはり先輩に手伝って貰った経験もあるから下の世代にも手を差し伸べるのかもしれない。

 今回、J・J・エイブラムスが興味を持ったのはホラー映画「イット・フェローズ」で注目を集めたデヴィッド・ロバート・ミッチェルのオリジナル脚本。この方、基本、自身が監督した作品はすべて原作無しの自身によるオリジナル脚本となる。毎回、映画作りで一貫しているのは日常に潜む不安や不穏さ、内なる感情へ焦点を向けたものだ。イメージ的にはインディーズ寄りのミステリアスな作風といったところ。

 そんなデヴィッド・ロバート・ミッチェルがJ・J・エイブラムスとタッグを組むとこうまでエンタテインメントとして怖面白くなるのかと驚かされたのが、「オークストリートの異変」だ。しかもサバイバル映画であり、恐竜映画であり、家族のドラマであり、SFなのだからいろんなジャンルが詰まった「幕の内弁当」と言っても過言ではない。

  けれどやはりなと感じるのは、メジャー俳優が出演すると一気にザ・ハリウッド映画感が増す。本作ではある夜突然、恐竜達の住む世界に迷い込んだプラット一家の母親役に「プラダを着た悪魔」の人気女優、アン・ハサウェイが扮し、父親役には「スター・ウォーズ」EP1〜3でオビ=ワン・ケノービを演じたユアン・マクレガーなのだから。そんな物語の舞台は1980年代。だから彼らの服装も髪型もレトロ。もちろん携帯電話もパソコンも存在しない時代だ。お陰で尚更、絶体絶命感が増す。助けを求めたくても街ごと恐竜の居る世界に入り込んでしまったら警官だって逃げ惑う。恐竜の倒し方をネットで調べることも出来ない。図書館に行くのも危険だ。

 よくぞこんな話を思いついたなと感心しきりだったが、デヴィッド・ロバート・ミッチェル脚本らしく、危機的状況でもギクシャクしている夫婦関係が日常の中でチラリチラリと映し出されていく。そしてJ・J・エイブラムスらしく80年代に興奮して観た「E.T.」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を思い出すカットが入っている。個人的には1990年の「トレマーズ」を彷彿させる冒頭だった。ただし、恐竜マニアにはツッコミどころもある時代違いの恐竜がコラボレーションしている点は目をつぶって欲しい。これが時空のねじれと考えたらまぁ納得出来る。とにかく、深く考えずにハラハラドキドキを楽しめるハリウッド映画に久しぶりにスクリーンで出会えた。

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