こんにちは!アップ教育企画・進学館の齋藤と申します。
いよいよサッカーの世界的祭典、ワールドカップが始まりましたね。日本代表も史上初のベスト8以上進出が期待されています。参加国が大幅に増え、決勝トーナメント勝ち上がり数も16チーム→32チームに増加している状況。日本はけが人がやや多いものの前評判が高く、今まで以上の成果を出す可能性が高いのでは!
少なくとも決勝トーナメントまでは無事勝ち上ってくれるでしょう。ドイツ、スペインという難敵2チームと同一グループだった前回大会よりも、なんとなくふわふわした気分になっていますが、スポーツなんて一寸先は闇。決して油断せず一試合一試合応援を届けたいと思っております。
ワールドカップで手に汗握る時間も惜しい、という受験生もいらっしゃるかもしれませんが、全身全霊、とでもいうべき気合を発揮するにはさすがに早すぎます。雨が多くなるこの時期は、まちがいなく「蓄え」のとき。たとえば算数においては、基礎力をしっかり磨く(基礎の徹底は入試までずっと大切です)、そして差し迫ってからはなかなか時間が取れないであろう「器を大きくするような難問チャレンジ」にも取り組んでいき、夏にガツンと!パワーアップできる下地をつくっていくよう指導しております。
今の時期に算数を学習する際は、間違ってもやり方を丸暗記するような学習の仕方はせず、時間がかかってもしっかり考えること、悪戦苦闘することを重視して取り組んでくださいね。
ところで、前述のワールドカップ関連で、算数の問題としてよく扱われるのが「試合数」の問題です。たとえば、今回のワールドカップでは、優勝が決まるまでの試合数は果たしてどれくらいあるのでしょうか?48チームで優勝を争う今大会、実はなんと104試合!今までが64試合なので大幅増です。算数好きでサッカーにも興味のあるお子さまには、ぜひ答えを教えず自分で計算させてみてください(ただ、1次リーグは4チーム×12グループの総当たり戦、決勝トーナメント進出は32チーム、特別な試合として準決勝で負けたチーム同士の3位決定戦が1試合あることなどを説明する必要があります)。
上記、有名な問題という紹介をしましたが、決して万人が知っているわけではありません。何をかくそう自分自身、中学受験を経てプロ講師になりましたが、それまでは考えた経験がありませんでした。いや、正確にいうと、プロ講師として勤務する1日前まで知りませんでした。教えてくれたのは…、他の先生でも参考書でもありません。ひとりの酔っぱらいのおじさんでした。
小学生のときにお世話になった恩師が実家に戻って開いた学習塾に就職することになった私は、翌日からの勤務に備え、はるか黒潮の地へと電車に揺られて向かっていました。さしあたって師の家に居候することとなっていたため、比較的身軽な荷物で昼下がりの特急に着席すると、初老の方がいわゆるカップ酒を手に隣席を陣取っていらっしゃいました。“コミュ障"ではないものの、さすがに不慣れな地へ向かう初日にカップ酒をあけているおっさんと仲良くできるほどの性分でもなく黙って座っていましたが、彼が私に話しかけるまでにそれほどの時間はかかりませんでした。
「兄ちゃん、旅行か?」
「(うぅ、面倒なことになったかも…)いや、就職先に向かっています」
「へえ、何ながや?」「何とは?」「何の仕事なが?」「あ、塾です」「へー、せんせぇかえ、こりゃーえれーな」「いえ、とんでもないです」
その後3年間で浴びるほど聞いた土佐弁でしたが、初日はさすがにピンとこず会話はうろおぼえですが、とにかくえらいのに絡まれたなぁ、という感じでした。
ときはちょうど春の選抜甲子園大会の熱戦が終わったころ。酔っぱらい特有のうんちくをほどよく聞き流しつつ不機嫌にならない程度に会話をすすめていたところ、ふとおじさんが「にいちゃん、夏の甲子園は何試合あるか知っているか?」と質問してきました。
おっさん、えらい挑戦的やき。こちとら、これから算数の先生になるがで。
瞬時に考え始めました。各都道府県の47チームが参加するから、1回戦は23試合で不戦勝のチーム含めて2回戦進出は24チームか、そうすれば2回戦は12試合で…。にこやかながら必死に頭を働かせていた若者の焦りを見透かしたように、おじさんはすぐに正解を口にしました。
「47チームやから46試合やろ」…優勝するチームは1回も負けない、他のチームは1回だけ負ける。どんなにトーナメントの構図が複雑でもそれは変わらないので上記は間違いなく真実でした。
圧倒的な敗北感。その後、酔いがすすんだおじさんが飲みかけのカップ酒を倒し、「マケた(=こぼした、という方言)がよ」とへらへらしていました。しょうがないおじさんだなぁ、という雰囲気で応対を続けた私ですが、「いやいや、負けたのは僕ですよ、おじさん」と素直に認めることもできぬまま、長旅は終着駅を迎えました。
不勉強が過ぎる状態であることを思い知らされた初日前。くやしさも相まってそれから半年間はあらゆる時間を惜しみ、恥をしのんで勉強に明け暮れた日々により、忘れていたことをさまざま思い出す事とともに、その後を支える土台を作れたと思っております。
最難関校を毎年任されるようになってからも、あの酔っぱらいおじさんが時々「にいちゃん、油断したらいかんで」と語りかけてくれている気がしてなりませんでした。ちなみに、特急電車での会話は、あの松坂大輔投手擁する横浜高校が優勝を飾った直後。「ええピッチャーや」とおじさんに絶賛された松坂投手は夏も制覇し、1年後には衝撃的なプロデビュー。その後の活躍は言うまでもないことを考えると、ひょっとしたら松坂以上のとんでもないおじさんと話していたのかもしれませんね。少なくとも自分にとって彼は、色褪せぬ英雄となりました。
上記みたく妙なきっかけを待たずとも、今はいろいろと頭を鍛える名作難問にいつでもチャレンジできます。手あたり次第立ち向かうのは危険なので、担当の先生にペースを考えてもらいながらよい問題にたくさん挑戦する機会をつくってくださいね。