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マンションの宅配ボックス「入れっぱなし」の法的問題とは 私物化を防ぐ最強のルール【弁護士が解説】

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仕事でいつも帰宅が遅い会社員のAさんは、宅配物が再配達される手間を省くためにマンションの宅配ボックスを活用していた。しかし、最近は特定の住人がゴルフバッグや季節物(冬用タイヤなど)を入れっぱなしにしており、常に満杯で使えない状態が続いている。

管理会社に相談しても「居住者のプライバシーや所有権の問題があり、勝手に開けることはできない」と消極的な回答だった。それに対してAさんは「共用施設なのに、なぜルールを守らない人が得をするのか」と強いモヤモヤを抱えている。

では、共用施設を長期にわたって私物化する行為に法的問題はないのだろうか。まこと法律事務所の北村真一さんに話を聞いた。

ー宅配ボックスを倉庫代わりに使い長期占有する行為は、法的に何らかの罪に問われますか?

直ちに刑法上の「罪」に問うのは難しいのが現実です。しかし、民事上では「不法行為(民法709条)」に該当する可能性があります。

宅配ボックスはマンション住民全員の共用部分であり、全員に「利用権」があります。特定の人が私物化して他人の利用を妨げるのは、その権利を侵害している状態です。また、多くのマンションでは管理規約で「目的外使用の禁止」が定められており、その場合は規約違反にも当たります。

ー管理会社が言うように、管理組合や他の住人が勝手に中身を取り出すのは法律違反になるのでしょうか?

安易に中身を取り出すのはリスクを伴います。正当な理由なく他人の荷物に触れ、別の場所へ移動させる行為は、たとえ共用スペースであっても「自力救済の禁止」という原則に抵触する恐れがあります。

また、中身を見たことで「プライバシーの侵害」と訴えられたり、移動中に壊したとして「器物損壊」を主張されたりするトラブルも予想されます。管理会社が慎重になるのは、こうした逆訴訟を恐れているからでしょう。

ーもし勝手に処分してしまった場合、どのようなリスクがありますか?

他人の所有物を勝手に処分すれば、たとえ相手に非があったとしても、民事上の「不法行為」として損害賠償責任を負います。ゴルフバッグなどの高価な品であれば、数十万円の賠償を命じられる可能性もあります。

また、刑事上の「器物損壊罪」に問われるリスクもゼロではありません。ルール違反者に対抗するために、自分が「加害者」になってしまっては元も子もありません。

ー私物化を確実に防ぐために、管理規約にはどのような文言を盛り込むべきでしょうか?

法的なトラブルを避けつつ、強制力を持たせるには、規約の具体化が必要です。以下の3つの内容を盛り込むのが有効です。1つめは「投函から何日間を超えて放置された荷物は、管理組合が回収できる」と利用期限の明文化することです。2つめは、「回収した荷物は事務室等で保管し、受け取り時には保管料(1日何百円など)を徴収する」など保管場所の変更と費用を定めます。3つめは 「規約に基づき荷物を移動させた際、管理組合は紛失・破損の責任を負わない」などの免責事項を決めることです。

これらが総会で承認されていれば、管理会社も自信を持って「規約に基づき、移動させます」と毅然とした対応を取れるようになります。

まずは理事会に議題として上げ、「ルールが形骸化している」と認識してもらうことが第一歩です。仕組みで解決することこそが、集合住宅で平和に暮らすためのスマートな方法だと言えます。

●北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
大阪府茨木市出身の人気ゆるふわ弁護士。「きたべん」の愛称で親しまれており、恋愛問題からM&Aまで幅広く相談対応が可能。

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