1960年代に男性に愛されたムスク系の香りが、蚊との戦いの意外な武器になる可能性があるという。土のような香りが特徴で、ヒッピー時代に人気を博したパチョリ油に関する実験で、最大3時間にわたり蚊が皮膚に止まるのを完全に阻止したという。
デング熱、ジカ熱、黄熱病などの危険な病気を媒介する「ネッタイシマカ」を対象に、この精油を塗布用クリームに加工し、ボランティアの前腕に塗布させた後、50匹のメスの蚊にさらした。そして試験期間の3時間を通じて、蚊は処理された皮膚に止まろうとしなかったことが報告された。
ブラジル・マカパのアマパ連邦大学の主任研究者リザンドラ・リマ・サントス氏はこう話す。「揮発性のため効果がすぐに失われる多くの天然防虫剤とは異なり、我々の製剤は比較的低濃度でありながら、最大3時間にわたりネッタイシマカに対する完全な防御効果を発揮しました」
パチョリ油はパチョリ植物の葉から抽出され、その重厚でウッディな香りのため、1960年代から70年代にかけて世界的に大流行した。当時はサンフランシスコやロンドンを中心に、既存の洗練された香水への反抗として、自然への回帰やスピリチュアルな連帯を示す「カウンターカルチャーの香り」として若者たちに支持された歴史を持つ。研究者らは、この油に独特の香りを与えるパチュリアルコールという化合物が、蚊が人間を標的として識別する仕組みを妨げている可能性があると見ている。
成分の1つであるアルファ・グアイエンは、多くの虫除け剤に含まれる化学物質DEETと同様の作用で、蚊のタンパク質に影響を与えることが示唆された。これは、皮膚に刺激を与えるという指摘もあるDEET製品に代わる、より自然な代替品の道を開く可能性がある。
試験期間中、このクリームは90日間安定しており、香り、質感、色に変化は見られなかった。有望な結果が得られたものの、リマ・サントス氏らは、パチョリをベースとした防虫剤が市場に出回るには、さらなる安全性試験が必要と強調した。
また、医療専門家らは、蚊が媒介する病気が流行している地域へ旅行する際は、依然として実績のある防虫剤を使用すべきだと警告している。米国疾病予防管理センター(CDC)は、適切に使用すれば安全かつ効果的であるとして、DEETやその他の承認済み防虫剤を引き続き推奨している。