元宝塚歌劇団星組トップスターで女優の瀬戸内美八(79)が14日、大阪市内で朗読歌劇「心中・恋の大和路」の取材会を行った。
近松門左衛門の「冥途の飛脚」を題材に、1979年バウホールで瀬戸内主演で初演され、82年に同主演で再演。その後89年に月組・剣幸、98年に雪組・汐風幸、2014年同・壮一帆、22年同・和希そらと何度も再演が重ねられてきた名作。今回、OGたちの手により歌とセリフでつづる朗読歌劇としてよみがえる。
瀬戸内は47年前を振り返り「トップになって直後の公演で、やはり格好いい役がやりたいじゃないですか。だからで冗談じゃない!って思っていました」と押し切られたような形での上演だったという。日本ものは苦手で、宝塚音楽学校時代も、日舞は補習組で不安しかなかった。だが、いざ幕が開けると、ラストシーンに客席は涙。日増しに熱くなっていくのを肌で感じたという。「うなぎ上りって、はじめて経験しました」と笑顔を見せた。
在団中は2回、退団後も3回上演した「心中・―」。主人公の忠兵衛は「私の分身」だという。最後の上演から約20年。「2007年が最後で、心配しているのは、私が年を重ねた分、分別臭くなるんじゃないか」ということだという。さらにヒロインの梅川を背負う場面では、初演ではまっすぐだった背中が、「だんだんと傾斜がきつくなっていって。見た目の変化はあります」と笑いを誘った。それでも「人を愛するという心は純粋で、本質は変わらない」と長く支持される理由を語った。
初演でキーマンである八右衛門を演じたのが、後輩で元星組トップの峰さを理さん。退団後も「ルミさん(瀬戸内の愛称)が忠兵衛やるときは、私が八右衛門やらんとどないすんの!」と全回演じてくれた。その峰さんをはじめ、脚本・演出の菅沼潤氏も潤色・演出の谷正純氏も鬼籍に入った。「だけど向こうから『ルミ、よかったな!』と来てくれるくらいの舞台にしたい」と意欲を見せた。
公演は6月24日~28日東京・草月ホール、7月2日、3日兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで上演される。