南フランスで、約7200万年前のものとみられる恐竜の卵の化石約100個が発見された。先史時代の解明に向けた画期的な一歩だという。
この発見は、欧州最大級の恐竜化石発掘現場をそのまま展示施設とした野外博物館「ミュゼ・パルク・デ・ディノサウル」のオーナーであるアラン・カボ氏が、同館周辺の土地で成し遂げたものだ。専門家らは、これらの卵が白亜紀後期にヨーロッパを闊歩していた巨大な竜脚類であるティタノサウルスのものであった可能性が高いと見ている。
メロンほどの大きさを持つ卵の化石は、南フランスが現在のイベリア半島と地続きの広大な島の一部であった時代にさかのぼる。ティタノサウルスは現代の渡り鳥やカメのように、毎年特定の営巣地に帰還し、世代を超えて巨大な卵の群れを形成していたと考えられている。
カボ氏はこの発見を「驚異的な出来事」と評し、遺跡の全貌を解明するには数十年、あるいは数世紀にわたる調査が必要になるだろうと強調。「ここは比類なき産地であり、研究を完遂するには幾世代もの古生物学者の力が必要となるだろう」と続ける。
また、この地域には世界最大級の恐竜の卵の堆積層が眠っている可能性があり、カボ氏は「南フランス全域には数百万個の卵が埋もれている。世界最大の集積地かもしれない」と言及した。
南フランスは恐竜の卵が頻繁に発見される地として知られ、エクス=アン=プロヴァンス周辺は研究者の間で「エッグ=アン=プロヴァンス」という愛称で親しまれている。近年の報告では約1000個の卵が回収されており、数百万年前の恐竜の繁殖様式や移動経路を特定する重要な手がかりとなっている。
ティタノサウルスは地球史上最大級の陸上動物であり、一部の種は体長15メートル、体重20トンを超えたとされる。巨躯に反して卵が比較的小さいのは卵が大きすぎると熱交換が妨げられ、孵化率が低下することを避けるための進化の結果だと推測されている。
カボ氏は発見された化石を個人コレクションとして秘匿したり売却したりするのではなく、発見場所に留めたまま「ミュゼ・パルク・デ・ディノサウル」の展示物として一般公開することを決めた。化石は特定の誰かの所有物ではなく、「広く一般に公開されるべき公共の財産である」というのがカボ氏の信念だ。
フランスは欧州有数の化石の宝庫であり、これまでにも多くのティタノサウルスの遺骸や足跡が確認されてきた。これらは約6600万年前の大量絶滅の直前まで、恐竜たちがどのように繁栄し、その晩期を過ごしたかを知る上で極めて貴重な資料となる。
悠久の時を経て姿を現したこれらの卵は当面の間、地中で静かにその時を待つこととなる。それは人類がようやく紐解き始めたばかりの壮大な生命の記憶を未来へと繋ぐ貴重なタイムカプセルにほかならない。