akiya_b

数十億年前の天然免疫システム 現代のウィルスと戦うカギに!?

海外エンタメ 海外エンタメ
古代の細菌防御システム、現代のウィルスと戦う一助に!?
古代の細菌防御システム、現代のウィルスと戦う一助に!?

 数十億年前の古代の防御システム(細菌が持つ天然の免疫システム)が、現代のウィルス脅威と戦うカギを握っている可能性があるという。

 米ペンシルベニア州立大学のトーマス・ウッド教授率いる研究チームは、細菌がDNAに組み込まれた長期休眠状態のウイルス(プロファージ)を利用し新たなウイルス侵入者(ファージ)を撃退する仕組みを解明した。

 核酸(DNAやRNA)に関する英研究誌「Nucleic Acids Research」に掲載された同研究、古代のメカニズムが新たな抗ウイルス療法の開発や抗生物質耐性対策に役立つ可能性を示している。

 ウッド教授はこう説明する。「これらの細菌は、ゲノム内に化石ウイルスの断片を保持しており、我々はそれらの化石が実際に感染防御に関与していることを発見しました。これは数百万年にわたって進化した精密に調整された防御システムです」

 同研究で、組み込まれたプロファージDNAによって活性化される「リコンビナーゼ」という細菌酵素が、ゲノムの一部を反転させ2つの新たな「キメラ」タンパク質を生成することが発見、これらのタンパク質は侵入するウイルス(ファージ)が細菌表面に付着し、遺伝物質を注入するのを阻害する役割を果たすことがわかった。

 そして大腸菌でこれらのタンパク質産生を促進したところ、細菌が一時的にウイルス攻撃に対し免疫を獲得することが確認された。しかし数世代後に、ウイルスは新たな付着方法を獲得、微生物とウイルス間の軍拡競争が実証される結果となった。

現代医療で抗生物質耐性が増加し薬が効かなくなる中、ウッド教授は今回の発見が従来薬に代わる安全な代替手段の開発に寄与すると確信しているという。「細菌感染症治療にウイルスを活用する前に、細菌が自然防御する仕組みを理解する必要があります。このシステムはその全容を解明する上で極めて重要です」

この知見は、チーズやヨーグルト製造などの発酵プロセスにおける細菌の健康状態を改善し、食品産業にも恩恵をもたらす可能性があるそうだ。「古代のウイルスの化石が今も宿主を保護しているということです。我々は、その可能性を解き明かし始めたばかりです」

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース