デビュー60周年を迎えた歌手・山本リンダが「ゴーゴーダンスの日」となる5月5日に東京・鶯谷のライブ会場「東京キネマ倶楽部」で開催された昭和カルチャーイベント「Tokyo A GoGo(トウキョウ・ア・ゴーゴー)」に出演し、自身のレパートリーを披露した。山本は公演前に当サイトなどの取材に応じ、思いを語った。
15歳の高校1年生だった1966年9月に「こまっちゃうナ」で歌手デビューしてから今年で満60年となる。昨年を「60周年」として、20代のクリエイターとも積極的に交流。同曲の新アレンジバージョンを手がけた22歳のインフルエンサー・金子みゆとのコラボを通し、TikTokで「山本リンダ」を初めて知ったZ世代にも注目されている。
こうした現象について、山本は「自分のデビュー曲が何十年経っても新たに生まれ変われるということが、歌手冥利に尽きるというか、本当にありがたいことです。みゆちゃんから『歌ってください』ということでレコーデイングして、アレンジや言葉(歌詞)を変えても、やっばり楽曲の力はすごいと思います。『どうにもとまらない』も『狙いうち』は1990年代に新たなアレンジで楽しんでいただいたこともありました。どんな曲でも、自分の気持ちはその年代に戻れるんですよ。だから、自分の年はいくつなのかしら?って、そんな感じです」と感謝した。
歌謡界で足跡を残したが、別ジャンルの女性たちからも薫陶を受けた。
「私はデビュー前から(シャンソン歌手の)岸洋子さんや越路吹雪さんが大好きで、ずっとシャンソンも歌っているんです。シャンソンの時には大人の歌で。また、(60年代ポップカルチャーの象徴的存在となった英国人モデル)ツイッギーさんとは(来日時に)ファッションショーで一緒に歩かせていただきました。ミニスカートの時代。ほんとに優しくて素敵なモデルさんでしたね。『私、世界のツイッギーよ!』なんてことも全くなくて、私たち日本のモデルたちと気持ちを分かち合いながらショーをさせていただいたことが懐かしいです」
現在も年間100以上のステージをこなすという。「野外のステージですと、おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんを連れてきたかと思えば、学生さんもいたり、さまざまな層の方たちが来てくれる。このゴーゴーイベントでは老若男女が音楽を楽しんでおられて、特に若い人にとっては私がデビューした頃にはやったモンキーダンスとかが新鮮なのよね。それがすごくうれしい。音楽もダンスも、世代を超えて心が一つになれる。昨年も感動しながらステージを楽しませていただき、今年もお声がけいただいてうれしかった」。山本は出番前の楽屋で感慨に浸った。
一般社団法人「日本記念日協会」に登録された「ゴーゴーダンスの日」に行われた同イベントは、平成生まれの女性ダンサー・踊るミエ(29)の主催で、山本は昨年に続いて参加。主に昭和40年代(1960年代後半~70年代前半)の音楽やファッションに憧れる“後追い世代”の観客が詰めかけた。前回は定員300人のチケットが即完売し、今回は会場規模を500人に拡大。山本と共に昭和の歌謡ポップスを体現する歌手・平山みきも出演し、その時代に影響を受けたキノコホテル、ザ・キャプテンズ、斉藤ネヲンサインといったアーティストが名を連ねた。
ミエの呼び掛けで、山本は紫のラメ入りホットパンツに黒のロングブーツ姿で「皆さん、こんばんは~!元気~?私も元気!」と満面の笑顔でステージに登場した。「こまっちゃうナ」(作詞作曲・遠藤実)から、「じんじんさせて」「狂わせたいの」「どうにもとまらない」(以上72年)「狙いうち」(73年)と、いずれも作詞・阿久悠、作曲・都倉俊一の〝黄金コンビ〟による激しいリズムのヒット曲で畳みかけ、シャウトも交えて絶唱。計5曲のステージで完全燃焼した。
古希を過ぎても衰えない「現役感」。ネットニースには「奇跡の75歳」といったコメントが書き込まれている。
山本は「音楽って、いくらでも若くなれるんですよ。『こまっちゃうナ』を歌っている私は今も15歳の女の子。歌には年代がなく、年を忘れさせてくれる。それを仕事にさせていただいていること自体に感謝です。だからこそ、足腰も鍛えています。エスカレーターがあっても階段の上りは極力、歩きます。お野菜とか体にいいものを食べ、夏はホットパンツで大好きな自転車に乗る。そうして、できるだけ長く、飛び跳ねて歌えたら幸せかしらと思って、これからも頑張ってまいります」と意欲的。60周年は通過点だった。