新社会人にとって、2年目の6月は「手取り額の減少」という現実に直面する時期だ。1年目は住民税の負担がないため、給与を全て使い切ってしまう人もいるだろう。しかし、住民税は前年の所得に対して課税される「後払い」の仕組みであり、その請求は容赦なくやってくる。さらに転職などの転機が重なれば、納税の負担はより複雑かつ重いものとなる。
住民税を放置することのリスクと、払えない場合の対処法について、正木税理士事務所の正木由紀さんに話を聞いた。
ーなぜ、住民税は「忘れた頃」にやってくるのですか?
住民税は「前年課税方式」を採用しているからです。所得税はその月の給与から概算で引かれますが、住民税は前年1月1日から12月31日までの確定した所得に基づき、翌年の6月から納付が始まります。
新社会人の場合、1年目は前年の所得がないため課税されませんが、2年目の6月から1年目の稼ぎに対する課税が始まるため、1年以上経ってから急に請求が来たように感じるのです。
ー特に注意が必要な人の特徴は?
最も注意が必要なのは、「新社会人2年目」の方です。1年目の手取り額をベースに生活水準を決めてしまうと、2年目の天引き開始で家計が破綻しやすくなります。
また、「退職した方」も危険です。会社員時代は給与から天引き(特別徴収)されていましたが、退職後は自宅に届く納付書で自分で払う普通徴収に切り替わります。退職して収入が減った、あるいは無職の時期に、現役時代の高い所得に基づいた請求が来るため、負担が重く感じられます。
フリーランス1年目の方も同様で、会社員時代の給与に基づいた税金を個人で納めなければならないため、納税資金を確保していないと行き詰まってしまいます。
ー住民税を滞納すると、どのようなペナルティがありますか?
まず、納期限を過ぎると「督促状」が届きます。これと並行して「延滞金」が発生します。延滞金の利率は消費者金融などよりも高く設定される期間もあり、放置するほど膨れ上がります。
さらに督促を無視し続けると、最終的には「財産差し押さえ」が執行されます。銀行預金、給与、さらには不動産や家財などが対象です。給与が差し押さえられる場合は勤務先にも通知が行くため、社会的信用を失うことにもつながります。税金には自己破産による免責もありません。
ーどうしても一括で払えない場合、分割納付などの猶予は認められますか?
払えないと分かった時点で、すぐに市区町村の納税窓口へ相談に行ってください。正当な理由(失業、病気、災害など)があれば、分割納付や、一定期間の納税猶予が認められるケースがあります。
また、著しく所得が減少した場合には減免の制度が適用される可能性もあります。自治体によってルールは異なりますが、最も避けるべきは連絡をせずに放置することです。誠意を持って相談すれば、役所側も強制執行を避け、無理のない支払い計画を一緒に考えてくれます。
◆正木由紀(まさき・ゆき) 税理士 10年以上の税理士事務所勤務を経て令和5年1月に独立。これまで数多くの法人・個人の税務を担当。現在は、社労士や司法書士ともチームを組み、「クライアントの生活をより充実したものに」をモットーに活動している。私生活では2児の母として子育てに奮闘中。