株主優待生活でテレビでもおなじみの棋士で投資家の“桐谷さん”こと桐谷広人さん(76)がこのほどよろず~ニュースの取材に応じ、株主生活の楽しみを語った。そしておすすめ株の銘柄を上げた。
総資産は7億円、保有株は約1400銘柄とテレビなどでも明かしている桐谷さん。そんな桐谷さんが株を始めたのは40年前。証券会社の社員に株を教えていたが、「彼らに貢献しなきゃと思ったら、そこで売っているのが株だったから」と20数万円つぎ込んだ。バブルでもうけたが「信用取引をしていたから、リーマンショックで貧乏になって」と振り返る。そのとき株価は安くなったが、優待は届く。「おかげで生活できた。もうね、株価でもうけるのはやめて、株主優待に切り替えた」と振り返る。
優待は大きく分けて、商品が届くものと、チケットを利用して購入したり、ジムや映画などのアミューズメント楽しむものがある。そのチケットを利用するため、リュックを背負い、自転車で移動する姿はテレビでもおなじみだ。そのリュックには、優待チケットが入ったギッシリと入った財布が入っている。「割引のものは全く使わないですね。50%引きじゃ意味ないんで。割引は一切使わない。やっぱり全額ただ」と優待券利用の線引きははっきりしている。
無料の優待券のみを使用するため、全体のうち使用できるものは「3割か、4割くらい。無料券はなるべく使うようにしてますけど、やっぱり使えないものはあって、それで悔しい思いをするのも、なんかボケ防止になってるみたいです」と笑う。「例えば山喜って(紳士服の)会社は400株持ってると、2500円の優待券がもらえるので、よくYシャツなんかを買ってました。G-Footという(靴の)会社なら、100株で1000円券が年2回来ます」と、お馴染みのリュックをはじめ、身につけるものも、ほとんど優待で手に入れているという。
もちろん自宅にも多くの品物が届く。「缶詰や瓶詰めは、賞味期限が過ぎても食べられる。古いものを食べてお腹を壊したことはないですよ。消費期限じゃないですからね」と賞味期限切れは気にしないという。 「優待生活と言ってるのに、隠れてこっそりお金を出して食べてるのは、それはやっぱりファンやテレビを見てくださっている方への裏切りだから。本当一切お金を使ってないです」と信念を語る。「現金もね、たまに使ってますけど。この 何十年とか、とにかく優待で暮らしてます」と徹底している。
元々は棋士として活躍しており、車の免許は持っていない。「自分たちの時代はね、ほとんどの棋士が免許は持っていなかった。運転は脳に悪いとか、血圧が上がるとか言ってね。 自分で車を運転するようになったのは羽生(善治)さんの頃から」と、桐谷さん自身は、お馴染みの自転車で移動している。「結構、移動できるんですよ。 家から埼玉県川口市まで行くと普通は1時間半ぐらいかかるんでしょうけど、私は1時間ぐらいで。健康にもいいですよ」と笑う。
株価に一喜一憂はしない。「日経平均株価が上がっても、影響とか全然ない。優待を無くされると困るけど、特にそれで喜んだり、悲しんだりもしない。株式投資をやってれば上がったり、下がったりしながらも自分の財産の増えていきますからね。あんまり気にしてないですね」と桐谷さん。「よく来年上がる株とか、業種を聞かれるけど、わからないんですよ。テスタさんのように、そういう株価の売買で稼ぐ才能がないから、株主優体の株で人生を楽しむ方針をやってるわけで」とスタンスを崩さない。
桐谷さんはテレビだけでなく。日本全国に講演を行い、“優待生活”が世間に広まった。神戸で行われた講演に来場した30代会社員の女性は「年に2回は桐谷さんの講演を聴きに行くんですが、それまで株は肉食動物だと思っていたのが、株主優待生活というのを知って、実はやり方によって、草食動物のように優しいものだと思えるようになりました」と語るなど、株のイメージも変わってきた。
そんな桐谷さんのおすすめはNTTとソフトバンク。さらに優待に特化すれば「タカキュー、クリエイトレストラン、SFPダイニングなんかもいいよね」という。「優待でどこがいいというのは私にはわかるけど、上がりそうな株は全然わからない。だけどいい優待の会社は結果的に株価も上がっていくんですよね」とこれまでの経験を元に、優待愛をみせた。
◆桐谷広人(きりたに・ひろと)1949年10月15日生まれ、76歳。 広島県出身。升田幸三実力制第四代名人門下で、1975年プロ棋士に。八段。2007年に引退。1984年から株を始め、現在は「株主優待生活」を標榜し、日本テレビ「月曜から夜ふかし」で特集されるなど、お茶の間でも人気となっている。