ネットフリックスドラマ『イカゲーム』で知られる韓国の俳優オ・ヨンス(81)に対する強制わいせつの有罪判決が、韓国・水原地裁の控訴審で覆された。オ・ヨンスは2024年3月、2017年の地方劇場ツアー中に女性の頬に無断でキスやハグをしたとして2件の強制わいせつで有罪となっていた。
控訴審では、被害女性が事件の半年後に性暴力相談を受けたことや、オ・ヨンスが謝罪した事実から疑念は認められたものの、記憶の変容の可能性にも言及。裁判所は「疑義が残る場合は被告の利益を保護すべき」と強調した。
これに対し、女性は「判決が真実を否定するものではなく、私の苦しみを消すこともない」と述べ、女性団体Womenlinkを通じて「最後まで真実を語り続ける」と声明を発表。同団体は「演劇界における性暴力を再び容認する判決に憤りを感じる」と非難した。
有罪判決後、オ・ヨンスは懲役8か月(執行猶予2年)と性暴力治療プログラム40時間の履修を命じられていた。検察は1年の実刑を求めていた。
オ・ヨンスは「湖の周りを案内するために手を取った」と主張し、「騒ぎにしないと言われたから謝罪したが、罪を認めたわけではない」と語っていた。一方、初審の裁判官は「被害者の記録と証言は一貫しており、実体験なしには語れない内容」と判断していた。
オ・ヨンスは2022年『イカゲーム』で韓国人初のゴールデングローブ賞を受賞。1963年から200以上の舞台に出演し、韓国演劇界の重鎮として知られている。