登山家の野口健氏が7日、自身のX(旧ツイッター)に新規投稿。クマの襲撃による人的被害が相次ぎ、今年度の死亡者が過去最多の13人となっている現状を受け、生き残った人でも「命に別状はない」という表現のイメージをはるかに超える深刻なダメージを負っている実態を解説した。
野口氏はクマ襲撃による身体へのダメージが深刻な状況となる実態を報じた記事を引用し、「『命に別状はありません』は決して軽傷という訳ではない。顔面が吹き飛ばされたケースを以前、ポストしましたが、熊の一撃の破壊力は凄まじい」と綴った。
さらに、同氏は「とても著名な登山家」の体験例として「子熊が見えた次の瞬間に背後から母グマに襲われ気がついたら熊の口の中に自らの頭が入っていたそうな。なんとか口をこじ開け抵抗し、その場を逃げたそうですが、鼻がぶら下がっている事に気がつき鼻を抑えながら下山し山麓の住宅の住民に助けを求めドクターヘリで病院に運ばれました。幸いな事にほぼほぼ取れかかっていた鼻は手術で元の位置に戻されたとのこと。世界最強の登山家であったからこそ、冷静に襲ってくる熊に対しパニックにならず、また、健脚ゆえ体に深いダメージを受けながらも山麓まで自力で下山をする事ができました。」と連続投稿した。
その上で、野口氏は「僕ならおそらくその場で命を落としていたと思います。」と見解を示し、改めて「『命に別状はありませんでした』という表現」に対して「安心しない方がいい」と呼び掛けた。
野口氏の投稿に対してXユーザーからは「知るのが怖くても必要なポスト」「一般的な人、週末ハイカーならその場で命を落としていたでしょう」「顔面破損、手首損失、大腿骨露出ですが命に別状はありませんみたいに、もう少し被害状況を加味した報道でも良いのかなと思います」といった声が続いた。
3日に秋田県湯沢市で発見された女性の遺体がクマの襲撃によるものと認定され、今年度で13人目の犠牲者に。過去最多だった2023年度の6人を大きく上回っている。