マルハニチロが、サンマの試験養殖に成功したと発表した。
不漁や燃料費の高騰などで近年、価格高騰していた天然物のサンマ。全国さんま棒受網漁業組合の水揚げ業データによると、2008年の漁獲量は343,225トンだったが、2022年には17,910トンと大幅に減少。今年は豊漁で価格も抑え気味だが、安定した供給のために養殖成功は嬉しいニュースだ。
本来サンマは神経質で壁に衝突しやすく、遊泳力が高いため広いスペースが必要。高水温に弱く、胃が無い性質からすぐ痩せてしまうので、冷却設備や頻繁な餌やりが必要になるなど、要するコストも莫大。生態研究も不足していたことから、養殖は困難とされてきた。
しかし今年9月、水産大手のマルハニチロがサンマの事業化レベルの養殖に成功したと発表。公益財団法人ふくしま海洋科学館から提供を受けたサンマの卵を、同館の水槽で技術支援を受けながら飼育し、出荷目安である100g以上の成魚まで育てることができたという。
同社担当者によると
「本事業への取り組みの根幹には、これからもサンマの食文化を守りたいという想いがあります。資源の枯渇や漁獲量の乱高下による価格の変化によって消費者がサンマを食べる事を忘れてしまう懸念もあります。安心してサンマを生食で食べる機会を増やすなど、養殖魚と天然魚がバランスよく消費者のニーズに応え、サンマの食文化と資源を継承出来るよう、今後も技術開発に挑戦します」
とのこと。
SNSでは、「養殖だったらデカくて太いサンマができるのかな、食べてみたい」「魚好きとしてテンションが上がるニュース」などの反響が見られた。脂ののったサンマに醤油を垂らして食べ秋の到来を感じる…そんな日本の食文化が今後も続くよう願ってやまない。
マルハニチロ
https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/news_center/news_topics/2025/09/9.html