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「お好み焼き」が無くなる!? 10年後には店舗数半減か…「継承する意識が薄い」求められる意識改革

藤丸 紘生 藤丸 紘生
※画像はイメージです(sasazawa/stock.adobe.com)
※画像はイメージです(sasazawa/stock.adobe.com)

 日本を代表する食文化「粉モン」のひとつ「お好み焼き」は今、大きな危機に直面している。若者のお好み焼き離れによって閉業する店も多く、原料の高騰、後継者不足も重なって10年後には店舗数が半減するのではという、いわゆる「お好み焼き2035年問題」が危惧される。日本コナモン協会の熊谷真菜会長は「このままではお好み焼きには未来がないんじゃないかという不安があります」と話す。

 お好み焼きに未来はあるのか―。「粉モン」文化を未来へ継承するためのイベント「食文化100年継承・鉄板会議2025」が3日、大阪市内で開催され、お好み焼きの継承問題をテーマに、その現状と展望について議論された。

 同イベントに先がけて実施された、全国のお好み焼き100店舗を対象にしたアンケートによれば、過半数の51店舗が「後継者がいない」と回答。実は、お好み焼きは焼き手によって味が左右されやすく「技の継承が難しい」という声も寄せられた。また、73店舗が「現在、原料コストに困っている」と答えたように、物価高の影響を受ける中で「(自分の子どもに)『継いで』と言っていいものか迷っている」と悩む声もあったという。

 熊谷氏は継承問題について「こうしたらいいという結論が出ているわけではない」とした上で、一つの仮説として「ほんまはすごい食文化なのに、継承する意識が薄い」と問題提起。店主の中には「誰かが継ぐなんて、そんな大層なこと考えたことない」という考えの持ち主も多かったといい、「やっぱり10、20年と人気店になったからには、もう少し偉大な食文化を守っていく、継承していくというミッションを感じていただけたら」と意識改革を求めた。

 さらに、ひとつの解決策として「お好み焼きの価値を上げる=値段を上げる」と提案。ラーメン業界で用いられる「1000円の壁」を例に、「じゃあ、お好み焼きはどうなのかとなった時に、やっぱり『豚玉は値段を上げるわけには』という声もあります。だけど、価格を上げることが価値を上げることにつながる」と話した。加えて、人材不足については「外国人の手も借りたい。食文化の重要な担い手として、それしかないと思ってます」とした。

 店側に意識の改革が求められる一方、日清製粉ウェルナの目黒憲和氏は家庭用お好み焼き粉市場について「コロナ禍で内食需要が高まって一時的に伸びたが、直近は少し落ちてきている」と説明。余りがちな食材を消費できる「経済性」や、たくさんの栄養素をとれる「完全食」としての一面を「皆さんに届けていければ」と、新たな切り口に市場の伸びしろを見据えた。

 偉大な食文化の継承に向かって「日本のお好み焼きの未来はまだまだ頑張れる」と熊谷氏。「新しい工夫、知恵、人材が未来を担ってくれる」と再度強く訴えた。

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