映画「オッペンハイマー」(2024年)でアカデミー賞の主演男優賞を獲得した俳優のキリアン・マーフィー(49)は、「満足している」キャラクターを演じることに全く興味がないそうだ。トラウマを抱えた男性役ばかりキャスティングされると冗談めかしていたこともあるキリアンだが、人生における大きな疑問を探求したいが故、軽い題材の仕事には食指が動かないという。
キリアンは英「オブザーバー」紙に「満足げな人物を演じることには興味ゼロなんだ」と明言した。「まず第一にそんな人物は存在しないと思っている。第二に、そのような人物に僕たちは自身を見出すことができない」と説明。「誰もが多かれ少なかれ問題を抱え奮闘しているだろう。朝起きるたびに、『今日はどうやって乗り切ろうか?この一日をどうやり過ごそうか?結局皆死ぬっていうのにどうやって生きればいい?善行のやり方は?子供をどう育てたらいいんだ?』なんて考える。こうした大きな問いは軽い題材の中には見つけられないと思っている」と語った。
さらに、出演作品で社会問題を探求したいものの、それが娯楽性を損なうわけではないとと説明。「世界の現状を踏まえて、娯楽性がありつつも刺激的あるいは挑発的な作品を作ることができたら素晴らしい」と続けた。
そんなキリアンの次回作は「スティーヴ」で、1990年代の問題を抱えた少年たちの学校の校長である主人公を演じる。同役は英BBCのドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」のギャングスター、トミー・シェルビー役とは違い、「自分自身に近い役で非常にさらけ出すような経験だった」と語っている。自身の家族がほぼ全員教師ということで、同職種に「深い敬意」を抱いているそうだ。「教師という仕事は、ある意味終わりがない。子供の頃、両親の姿を間近で見てきた。彼らには本当に尊敬の念を抱いている」と敬意を示した。
そして、最終的に小学校の教育監察官となり息子が通う学校を視察することもあったという父親ブレンダンについても告白。「父が学校に来るたびに、いつも学校から追い出されていたのは僕だった。あの時期は僕たちにとって興味深い時期だったよ」「自分は酷い問題児だったんだ。わかるよね?」と自戒の念を込めて振り返っていた。