鳥取県倉吉市で、廃施設から一転、予約殺到の人気宿になったホテルが話題だ。
歴史ある温泉地、関金に1968年に開業した「国民宿舎せきがね荘」がコロナ禍に閉館し、倉吉市が「せきがね再生プロジェクト」を発足。2022年に流通株式会社が代表となる民間企業体が指定管理者に選定され、改修・再生を勧めて完成したのが、「HOTEL星取テラスせきがね」だ。北館は全室ユニバーサルデザイン(UD)で、障がい者も快適に過ごせる仕組みが備わる。
設備だけでなくに全スタッフが「ユニバーサルマナー検定」を取得済で、様々な支援ができる体制が整い、これまで気軽に旅行に行けなかった人々が旅に出るきっかけとなっている。HOTEL星取テラスせきがね支配人の宮本立史さんに聞いた。
――ユニバーサルデザインのホテルになった経緯は?
宮本:全国的に、年齢や障害に関わらず誰もが楽しめる“ユニバーサルツーリズム”推進が活発化しつつあり、鳥取県では「我々が先駆けてやろう!」となったんです。島根県松江市には「なにわ一水」という、UDで有名な旅館があり、鳥取県にはなかったというのも理由でした。
――オープンまでの間で大変だったことは?
宮本:料理人探しです。当初は若手料理人を抜擢しようと考えていたのですが、タイミング良く、地元出身で「現代の名工」に選ばれた岩本栄二さんが総料理長として来て下さったんです。まさに嬉しい誤算。味はもちろん、随所に”星“を散りばめた料理は「映える」そうで、お客様に絶賛されます。
――オープンされて、お客様の反応はいかがですか?
宮本:アンケートには、「脊髄損傷の下肢麻痺障がい者にとっての最大の問題は、排泄とお風呂ですが、設備とスタッフのおかげで安心して過ごせました。」「和洋特別室は、立てなくなった私にとっての夢、“畳の上でゴロゴロする“を叶えてくれ、嬉しくて泣きそうになりました!」などとあり、みなさん喜んでくださり感激しています。
――今後の夢、地域貢献について。
宮本:地元自治体や観光協会、地域住民と連携し、サイクリングツアーや星空観察など、地域の魅力が伝わるような企画をしていきたいです。秋からは遠距離のお客様送迎ができる介護タクシー事業を開始、館内で介助サービスを行う体制も整える計画です。「日本一インクルーシブ(包摂的)な宿」を目指し、これからも工夫を重ねていきたいです。
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SNSでは「セルフロウリュ可能で嬉しい」「大山と蒜山が一度に見えて最高だった」「接客がとにかく素晴らしい」などの反響が。犬と宿泊した人からは「4部屋共通の天然芝ドッグランがあり、友達と部屋を別にしても犬たちは一緒に遊べるのが最高だった!」との声もあった。
HOTEL星取テラスせきがね Instagram
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