「申請すれば誰でも記念日を作れるらしい」というSNS上の話題に注目が集まっている。企業や団体が申請するケースがほとんどだが個人での申請も可能だそうで、手順はまず一般社団法人日本記念日協会のホームぺージから記念日登録申請を送り、協会の審査会で合格の判定を待つ。合格通知と請求書が届いたら、登録料の支払い。協会から「記念日登録証」が届き協会のHPに掲載され、登録完了とのこと。日本記念日協会理事代表理事の加瀬清志さんに話を聞いた。
――現在登録されている記念日は、いくつくらいですか?
加瀬:約3000件です。
――個性的な記念日と由来を、いくつか教えていただきたいです。
加瀬:「渋沢栄一がお札になった日」「津田梅子がお札になった日」「北里柴三郎がお札になった日」3件とも7月3日で、紙幣が発行された日を記念日としました。今年の7月3日に埼玉県深谷市で記念日登録証の授与式も開催されます。お札の記念日登録は初めてなんですよ!
7月24日は「夏の大阪・鴨すき焼きの日」。松原市で河内鴨の販売・卸を手掛ける、有限会社ツムラ本店が制定したもので、江戸時代には滋養強壮のため天神祭りの頃に鴨のすき焼きを食べる文化があったそう。それを大阪の夏の食文化として普及、定着させるのが目的の、天神祭りの宵宮が始まる日に制定した記念日です。この日にはこれを食べるという食文化を記念日にするという発想が好きです。
――個人でも記念日を作ることはできますか?
加瀬:できますよ!滋賀県の方なんですが、5月7日「木原昇・トランペットソロの日」を登録しています。京都橘高等学校吹奏楽部のトランペットソロに感銘を受け79歳からトランペット教室に通い、80歳の誕生日を、トランペットソロを広める目的として記念日に登録されています。
――もっと普及させたい記念日は?
加瀬:6月2日「ルビの日」です。社会にふりがな(ルビ)を適切に増やすことで、あらゆる人が学びやすく、多文化が共生する社会づくりを目指すため、一般財団法人ルビ財団が制定したもの。日付は「ル(6)ビ(2)」の語呂合わせです。
――今後の目標は?
加瀬:4月に「すぐに役立つ・366日記念日事典」(第5版・上下巻/2冊セット)を創元社より出版しました。
記念日は日付のある文化で、毎年やってくるビジスチャンス。歴史を記憶する最高の装置でもあると考えています。いつの日か「記念日の博物館」を設立するのが夢なので、どなたかスポンサーになってくれないかなあ、と思っています。
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登録のための審査では、商標など他社の権利を侵害するもの、特定の政党や宗教団体の活動のためのもの、記念日文化の発展を損なう恐れのあるものなどは不合格になるそう。楽しい文化や暮らしやすい社会のために記念日を活用したい。
一般社団法人 日本記念日協会
https://www.kinenbi.gr.jp/