「夏は受験の天王山」といわれるように、時間がたっぷりある夏休みは学習面で飛躍するチャンスと捉えている受験生は多い。一方、塾なしで中学受験を目指す家庭にとっては、塾の夏期講習のようなカリキュラムも管理もない分、どのように過ごすか悩むところだ。そこで、2022年に塾なしで中学受験を経験した筆者の長男(現在高校1年生)の夏休みの過ごし方について振り返ってみよう。
小4の夏休みは、夏期講習に参加すること自体を想定していなかった。まだ本格的に中学受験をするかどうかも決めきれておらず、講習に通うほど真剣に取り組む段階ではないと考えていたためだ。
もともと遅れ気味だった学習進度を取り戻すことを優先し、夏休みだからといって新たなテキストや問題集を追加することはしなかった。ただし夏休みは時間に余裕があるため、学習時間は普段よりも長めに確保し、各教科にじっくり取り組むようにしていた。
中学受験に本格的に取り組むことを決めた小5の時は、コロナ禍の影響で夏休みがわずか2週間しかなかった。例年とは異なる状況に加え、連日のマスク着用や酷暑による疲労もあり、体調を最優先するため勉強内容は普段通りを維持しつつ、特別なカリキュラムの追加はしていない。
唯一変わったのは、学習の進度だ。使用していた教材が8月から下巻に切り替わるため、それまでに上巻を終わらせることを目標にした。毎日4教科をこなしつつ、上巻の新しい単元をどんどん進めていったのだ。
受験学年となる小6の夏は、もっとも過ごし方に悩んだ夏休みだった。夏期講習に参加するかどうか悩み、長男に聞いたところ「行かない。家でやる」と即答。結局、例年通り、自宅学習で進めることにした。
ただし、親としては「本当にこれで大丈夫だろうか」という不安もあった。そこで、苦手だった国語のみ、夏休みだけ家庭教師に週1回程度来てもらうことを長男に提案している。学習のペースメーカーとしての役割と、国語指導を期待しての試みだった。
そして実際に体験授業が特に問題もなかったので、家庭教師の利用を開始することにした。しかし授業の重ねるにつれて、事前の指示や準備がなかったり家庭教師の受け身の姿勢に不信感が募らせる事態に。最終的には約束していた授業をドタキャンされるという事態が発生し、お断りすることになった。
その後、改めて家庭教師を探すには時間的に厳しいと感じたため、悩んだ末に「もう国語は自分で見よう」と気持ちを切り替え、家庭教師も無しで夏を乗り切ることにした。
振り返ってみると、勉強する場所が塾であっても家庭であっても、大切なのは子ども自身が納得して過ごし方を選べたかどうかだったように思う。現在、小5の次男も通信講座で中学受験に向けて学んでいる。彼にとってどんな夏がよいのか、そろそろ一緒に考えてみようと思う。
<プロフィール>
野田 茜
2男1女のママライター。2022年、高1長男が完全塾なしで中学受験をし、偏差値60半ばの中高一貫校へ進学。現在、小5次男が通信教材を利用し自宅学習で中学受験に挑戦中。自身は中学受験未経験で大学まで公立育ち。中学受験の問題の難易度にまったく歯が立たず、逆に子供に教えられる。「ママ、教えてあげよっか?分かる?」と次男に心配される日々。