Amazonはこのほど、偏差値60以上のいわゆる“難関中学校”に通う、または通っていた子どもを持つ保護者206人を対象に「子どもの教育に関するアンケート」を実施、結果を公表した。
調査によると、「子どもに最も伸ばしてほしい力」では、50.0%と半数の保護者が「思考力」と回答。「コミュニケーション能力」(24.3%)、「行動力」(13.1%)、「想像力」(12.6%)と続いた。
将来どんな大人になってほしいか」では、「社会で円滑にコミュニケーションが取れる人になってほしい」が71.4%と最も多く、「問題解決能力を身につけてほしい」が51.5%で続いた。思考力とコミュニケーション力の両立を重視する傾向があると言える。
思考力の構築につながった、またはつながると思う教育方法としては、「読書習慣」が56.8%で最多。本のジャンルについては「カラーで分かりやすく、子どもが飽きずに読むことができた」「ストーリー性があり、夢中になって読み進められた」など、学習漫画を薦める意見が多かった。「クイズやなぞなぞなど、遊び感覚で学べた」として、クイズ本や図鑑、読み物、娯楽漫画など、子供の興味を惹きつつも学びにつながる本が好まれている。
また、「デジタルデバイスを教育ツールとして使用する際の用途」について聞くと、「動画・映像学習」が50%、「読書」が29.6%、「インタラクティブ教材・ゲーム学習」と「辞書」がそれぞれ26.2%だった。約3人に1人がデジタルデバイスを教育ツールとして使用する際、電子書籍の用途に使用している。デジタルデバイスは日常的に子どもの教育に活用されているといえる。
70.4%の保護者が「子どもの教育に積極的に投資したいとは考えているものの、何に投資をするべきか悩んだことがある」と回答し、「教育投資に関する最も大きな悩み」について聞くと、「費用対効果が見合うか不安」が37.9%、「身につけたい力を伸ばせる教育がわからない」が27.7%という結果に。積極的に投資したいと考えているものの、多くの保護者が、実際にどの分野に費用をかけるべきか、どの教育を選択するべきかといった判断に悩み、“子育て迷子”を経験している。
人気漫画「ドラゴン桜」の指南役を務めた教育評論家の親野智可等氏は「AIや生成系ツールの進化により、『知識が多い』だけでは役に立たない時代が到来しました。子どもに求められるのは、与えられた問いに答える力ではなく、“問いを立てる力”です。言い換えると“自分がやりたいことや追究したいことを自分で決めて実行する力”です。そこで教育投資においても重要になるのが、“保護者の想い”より“子どもの興味”を優先することです。そうすれば、子ども自身が主体的に取り組めて、意欲も継続するので結果的に投資効果も高まります。その点で「読書」は、本人が夢中になれる本を選べる自由度が高いので、最適解といえます。興味のある本を楽しみながら読む中で、読解力、論理的思考力や想像力、表現力、そして追求力が自然に育まれます。知識を詰め込むのではなく、子どもが「学びたくなる」環境を整えることこそが、思考力を育む第一歩です」としている。