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「後5年でコンビニの8割がセルフレジに」識者解説 まだ間に合う!慣れる練習は「平日朝10時の店内で」

北村 泰介 北村 泰介
ローソンのセルフレジ。酒やたばこ購入者の年齢認証ができ、深夜の無人化につながるか?業界全体の課題だという(撮影・渡辺広明)
ローソンのセルフレジ。酒やたばこ購入者の年齢認証ができ、深夜の無人化につながるか?業界全体の課題だという(撮影・渡辺広明)

 コンビニエンス・ストア(以下・コンビニ)でのセルフレジ化が進んでいる。こうした機器に不慣れであったり、操作が苦手だという人にとって、どう対応していけばいいのだろうか。自分の後に並ぶ人たちの存在を気にせず、「セルフレジの使い方を店内で実践して習得する方法」について識者に聞いた。

 現在、コンビニではセルフレジと有人レジが共存するタイプが大半。セルフレジが苦手な人は、並んでも有人レジを選択する。ただ、近い将来、セルフレジがメインになると、うまく操作できずに立ち往生した揚げ句、買い物をあきらめるという事態になってくる。省人化によって、レジ以外の業務で忙しい店員にも聞きづらく、また、今さら聞くのも恥ずかしい。手にした商品をそっと元の棚に戻し、何も買わずに店を出る。そんな姿も目に浮かぶ。いや、既に体験済みの人もいるだろう。そんなセルフレジが〝トラウマ〟になってしまった人はどう対応すべきか?

 消費経済アナリストの渡辺広明氏は「コンビニには全ての客層にきちんとサービスをするという前提があるので、今後も完全にセルフレジ化することはないと思います。とはいえ、セルフレジが今以上に主流になることは間違いないです。既に〝セルフ〟が主流になっているガソリンスタンドくらいになると思います。なぜなら、人手不足だからです。今の価格を維持するためにもその流れになってくる。ですから、セルフレジに対しては『チャレンジ』していくしかない。今の内に慣れた方がいい」と指摘した。

 渡辺氏は株式会社ローソンに22年間勤務。店長・スーパーバイザーを経てバイヤーを経験後、メーカーで商品開発・マーケティングに従事し、自ら株式会社「やらまいかマーケティング」を設立。メーカーとは約780品目の商品開発に携わった。同氏は「セルフレジに慣れる方法には2点ある」と提言した。

 「1点目は『平日朝10時頃にチャレンジ』です。朝のラッシュ時間帯が終わってアイドリングタイム(※作業者が実際に業務を行っていない時間)ができる可能性もあり、お昼のピーク前でもあるので、お客さんが少ない時間帯。また、シニアの方もそのあたりの時間は動きやすい。後に並ぶ人の目を気にせず、セルフレジに慣れるのに適した時間帯として一番の穴場です。手の空いたアルバイト店員にも聞きながら慣れていくのが一番ではないかと思います」

 さらに、渡辺氏は「2点目」として「ファミリーレストラン(以下・ファミレス)で慣れること」を挙げた。

 「ファミレスではテーブルで(機器に)触れられ、食べ終わった後、決済のみを後ろの目を気にせず、ゆったりとセルフレジで操作できる。ファミレスで慣れて、コンビニで朝10時にやって、分からないところをバイト店員に聞く…といったことをやっていけば、たいていの人はできるようになると思います。まずやってみることが大事です」

 また、一般的に高齢者層がセルフレジを苦手とし、敬遠する傾向にあるという見方について、渡辺氏は「一言に『シニア』と言っても、今の60~70代の人は基本的にはあまり抵抗を感じていないと思います。80代以上の人はおおむね抵抗感があるかもしれませんが、『シニアだからできない…なんて、なめたこと言うな!』と言われる可能性も高いです」と、世代で一括りにできない現状を説明。その上で、同氏は「年齢に関係なく、セルフレジは苦手だという人は、ご提案した2点で慣れていただければ」と付け加えた。

 セルフレジを巡って、今後のコンビニ業界の課題点も挙げた。

 「あと5年くらいで8割くらいがセルフレジになると思います。約2割が有人レジで、そこは人手がいないので、待たなくてはいけない不便さはある。また、商品1個1個のバーコードを読まなきゃいけない不便さもあり、そうした技術開発も求められている。あと、シニアの方は店員さんと話したいというところもあるので、セルフレジが便利か不便かではなくて、近くのコンビニで一言でも話ができるか…。そっちの方がこれからのコンビニにとって重要になってくるかと思います」

 どんなにコンビニが〝進化〟しても「対面でのやりとり」は求められている。そこは「人の世」が続く限り、不変であるということだろう。

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