LINE世代はメールが苦手なのか!? 件名や本文がなく添付ファイルだけ…キャリコンに聞いた最近の学生事情

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近年、就職活動をおこなう学生たちの間で、ビジネスコミュニケーションに関する新たな課題が浮上している。LINEやSNSを主なコミュニケーションツールとして育ってきた若者たちが、従来のビジネスマナーに戸惑う場面が増えているのだ。実際に学生の就活支援を行うキャリアコンサルタントのAさんに話を聞き、最近の若者事情を探ってみた。

Aさんによると、メールの基本的なマナーを理解していない学生が増加しているという。たとえば、件名を入れずに本文だけのメールを送信したり、添付ファイルだけを送ってくるケースが目立っているとのこと。さらに驚くべきことに、メールの文面で自己紹介や挨拶を省略し、いきなり本題に入る学生も少なくないそうだ。

ある事例では、Aさんが知らないメールアドレスから「履歴書」という名前のファイルだけが送られてきたという。メールアドレスを見る限り、どこかの会社から送られてきた内容だが、スパムメールの可能性もあるためAさんは添付ファイルは開けずに調査した。

すると、ある大学の学生が、自身の親戚の会社から送信したメールということが判明した。よく見るとCcに学生が大学で使用しているメールアドレスが書かれていたが、学籍番号の桁数が間違っており、すぐには本人だと分からなかったのだ。この学生は複数の会社に同様の履歴書メールを送信しており、学生課は大慌てで謝罪対応に追われたそうだ。

電話でのコミュニケーションにも課題が見られる。電話を受けた際に名乗らず、友人との会話のように話し始める学生が増えているという。「もしもし」の一言で始まり、「あ、この前の履歴書の話なんですけど…」といった具合に、相手が誰かも分からないまま本題に入ってしまうのだ。

さらに深刻なのは、電話を避ける傾向が強まっていることだ。Aさんが学生に電話をしても、素直に出てくれる学生はとても少ないらしい。しかも留守番電話サービスへの転送もされず、就職についての重要な連絡ができないまま就職機会を逃す学生もいるという。

企業とのやり取りにおいて、学生のレスポンスの遅さが問題になっているケースも多い。面接日程の調整などで、企業から候補日の提示があってもすぐに返信をしてくれる学生は少ないとのこと。そのため面接日程がスムーズに決められないのだ。

これらの問題についてAさんは、「LINEのスタンプでのやり取りに慣れているため、メールで文章を書いて返信することに抵抗がある学生が多い」と指摘する。この傾向は、ビジネスの場面で求められる迅速かつ明確なコミュニケーションとは相容れないものだ。

この状況の背景には、若者のコミュニケーション手段の変化がある。LINEやInstagramのDMが主流となり、メールや電話の使用頻度が激減しているのだ。調査によると、大学生の7割以上がメールよりもLINEを好んで使用しているという。

さらにスマートフォンの普及により、パソコンを持たない若者も増加している。その結果、メールアドレスを持っていても、自分のアドレスを覚えていない学生も少なくないという状況だ。

この傾向は今後さらに強まることが予想される。新人教育に関わる企業にとっては頭の痛い問題となるだろう。しかし、若者のコミュニケーション習慣を一方的に否定するのではなく、世代間のギャップを埋める努力が必要ではないだろうか。

企業側も、LINEなどのツールを活用したコミュニケーション方法を検討する必要があるかもしれない。一方で学生に対しては、ビジネスマナーの重要性を早い段階から教育することが求められる。

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