廃棄される鹿を有効活用した財布が話題!伝統工芸「印伝」で制作 現代の日常に馴染むデザイン

米田ゆきほ 米田ゆきほ
戦国時代の鎧にも使われていた工芸を、現代のファッションに落とし込み市場拡大を狙う
戦国時代の鎧にも使われていた工芸を、現代のファッションに落とし込み市場拡大を狙う

廃棄される鹿革を有効活用し製作された財布が話題になっている。

現在山梨県では、適正生息数の15倍の約70,000頭のニホンジカが生息していると推計されている。個体数調整のため、特定鳥獣保護管理計画に基づき年間13,000頭あまりを捕獲しているそう。

しかし捕獲されたニホンジカが食肉などに加工される割合はわずか1%ほど。廃棄される鹿の皮を、漆を使った伝統工芸「印伝」を使用し復活させた財布は、シンプルでどんな服装にも合いそうなモダンなデザイン。制作したCEMENT PRODUCE DESIGNの代表、金谷勉さんに話を聞いた。

――「印伝」の良さは?

金谷:山梨県に伝わる「甲州印伝」は、戦国武将・武田信玄も愛用したと伝えられている工芸で、鹿革に漆で立体的な模様をつける技法です。鹿革は軽くて柔らかく、手触りが人肌に近いんですよ。使い込むほどに手に馴染むのも魅力的です。

柔らかいのに鎧にも使われていて、通気性が良く、水に強いのも、現代の日用品には適していると思いました。

――こだわりは?

金谷:これまでの甲州印伝とは違い、日常で沢山使っていただけるよう、今の生活やファッションに馴染むデザインにしました。形は日本を代表する山梨県の「富士山」や「南アルプス」などをモチーフにした、山梨県産ならではのデザイン。漆でできた模様は、鹿の毛並みに見られる白い斑点「鹿の子斑」をモチーフに、和柄が多い甲州印伝のデザインを今の時代にあったモダンな印象になるよう表現しました。

――伝統工芸を衰退させないためには?

金谷:「伝統工芸応援したいんです」というお話をよく伺うのですが、「どんな工芸品をお持ちですか?」と聞くと、実際は持っていない人が多い。応援ではメシ食えないし後継も育たない。新たな技術へ挑戦を積むのが伝統。これまでの技術を伝えるのが伝承。欲しい!と思ってもらえる商品を作ってヒットすれば、職人はその道を信じて続けていける。そんなチャンスを、もっと沢山作っていきたいです。

都心部以外では、まだ企画力のあるプロデュース人材が少ないのが課題だと感じています。現在その解決策として、マネジメントやマッチング能力に長けた地域の金融機関の若手人材を、プロデューサーとして育成する取り組みを始めています。今後は、地域の金融機関との連携を深め、地域を強くする基盤づくりを進めていきたいです。

若い世代にも気軽に日常使いされる伝統工芸品が増えれば、市場が拡大されるだろう。新たな魅力の発信を続ける取り組みが、伝統工芸の未来を救う鍵となるのではないだろうか。

CEMENT PRODUCE DESIGN

https://www.cementdesign.com/

金谷勉 X

https://x.com/cementblue

コトモノミチ

https://store.coto-mono-michi.jp/

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